2012年03月06日

君になったことで、君の名前を知った『ぼくは麻理のなか』連載開始!

 『漫画アクション』(2012 3.20 NO.6)で押見修造さんのTSモノ始まったああああああああああああああああ!!
 ってちょっと待ってどんだけ続くの、どんだけ続くの今年のTSモノ攻勢は(汗)

 第1話サブタイトルが「童貞少女」というど直球な始まり方の『ぼくは麻理のなか』
 主人公の青年・功は大学デビューに失敗し、今や通学もせずにダラダラと無為に日々を過ごすばかり。
 彼の楽しみは、毎晩決まった時間にコンビニですれ違う美しい女子高生(功曰く「コンビニの天使」)を目で追うことだけ。
 名前も知らない彼女に惹かれ、コンビニから彼女の家まで後をつけることが日課になって早一年近く。
 告白する勇気なんてない。
 乱暴を働く気なんて毛頭ない。
 ただただ、彼女の後をつけるだけ。
 彼女の近くにいたいだけ。
 彼女を少しでも知りたいだけ。

 そんな功が、いつものように彼女の後をつけていた夜――

 ぷっつりと記憶は途切れ、目覚めた功は、「彼女」になっていた。

 彼女の身体。
 彼女の服。
 彼女の部屋。

 彼女の姿に変身してしまったわけではない。彼女そのものになって、彼女の生活空間に存在しているわけです。
 一番考えやすいのは憑依なんですが……まだ情報が少なく(と言うより、あからさまに隠されている)ので断定はできません。

 それよりも語りたいのは、この作品の「気付き」のシーンが神だということですよ!

 TSモノで「性別が変わっていることに気付く」シーンは重要……ってつい最近も同じこと描きましたが、『ぼくは麻理のなか』における「気付き描写」は他の追随を許さないかもしれません。
 @肉体が別人になったことにより、違和感を覚える。
 A自分の部屋ではないことに気付く。
 B女の子になっていることに気付く。
 C鏡で姿を確認する。

 ここまで丁寧に描かれている時点で合格レベル。ですが、まだ続くのですよ……!
 憧れの少女になっている! ならば、と改めて部屋の中を確認。

 D家具・制服・ぬいぐるみ等の「所有物」に気付く。

 E生徒手帳で名前を確認する。

 生徒手帳で名前を確認する!

 これを大ゴマで描いてくれるとは……っかー! わかってますな押見修造さん!
 憑依や入れ替わりなどで「個人情報を把握していない人物になってしまった」場合、「何者になったのか」を知るのは凄く重要なわけですよ。当然といえば当然ですけど。
 憧れの少女そのものになったというのなら尚のこと、その娘のことを知りたくなるわけです。
 憑依・入れ替わり等によるTSは支配欲を満たすことにも繋がるものですが、「相手のことをもっと知りたい」という欲求に応えるものでもあるのですよ。
 名前も声も、趣味も知らない憧れの君。
 名前を知りたかった憧れの少女。

 その娘になったことで名前を知った。

 これ、凄く良い描写です。「実在する他人になってしまうタイプのTS」における喜びが、これだけ力を入れて描かれているとは……1話目から早くも感服です。

 また、TSコメディなどでは基本ドタバタと騒がしく描かれることの多い「気付き」のシーンが、かなり静かに、抑えて描かれているところも本作の特徴ですね。
 (自覚直後に叫ぶぐらいはしますが)
 台詞も少なく、しかしひとつひとつ丁寧に、他人になっていることを、異性になっていることを、憧れの少女本人になっていることを確認していくのです。
 思わずこっちまで泣いてしまいそうな圧倒的クオリティ……。良作の気配を強く感じますね。
 第2話は4月3日発売の8号掲載とのことで、見逃せません!

2012年02月23日

王道入れ替わりTSにしてそこに留まらない!『山田君と7人の魔女』連載開始!

 噂には聞いていましたが、巻頭カラーで入れ替わりTSモノが連載開始とはマガジン始まりすぎでしょおおおおおおおおおおおお!?
 表紙における宣伝からして
「優等生女子とアウトロー男子が入れ替わり!
 吉河美希にしか描けない学園コメディ誕生!!」

 カラー扉絵のキャッチフレーズとアオリは
「ボーイ チェンジ ガール ラブコメディ新連載
 心と体が入れ換わる!
 新たな世界が見えてくる!!
 キミとの出会いが全部の始まり!!」

 ですからね。メジャー少年誌が入れ替わりTSを前面に押し出して売り出すとは……!

 進学後落ちこぼれてやさぐれている男子高校生・山田竜は、クラスメイトであり学年トップの成績を誇る美少女・白石うららと共に階段を転げ落ちた拍子に入れ替わってしまいます。
 
 保健室で目を覚ました時、山田は白石の体になっているんですが、この気付きのシーンからして完璧!
 「TSモノにおいて『気付き』のシーンは非常に重要」というのは、我々の間では常識。
 その水準からしても文句のつけようがありません。

 なにしろ、ベッドで身を起こして視線を下ろしたら胸の谷間が!
 そしておもわず揉んで確かめる!
 股間を触って「・・・・無え!!!」
 慌てて姿見に自分を映して「白石になってんじゃねーかぁぁッ!!!」

 ……そう、こうあるべき。こうあるべきなんですよ。帰宅後に気付くとかあり得ないですもん。
 
 しかし、こういうベタな内容だけで終わらないのが本作品です。
 入れ替わりを自覚して白石の様子を確かめようとすると、なんと彼女は山田の体のままで教室に戻ったというのです!
 慌てて教室へ向かうと、そこには平然と、不自然なほど熱心に授業を受ける「山田」の姿が。
 教室からつまみ出すも、山田の体の白石は「状況はわかっているが、元に戻れるであろう方法は放課後まで試す気はない。また気絶するのは困る。これ以上授業を休めない」と会話を打ち切ってしまいます。
 しかも、平然としているもののどうやらトイレまで経験したご様子(汗)

 完全に白石のペースなんですよね。
 これ、男の方が内気・弱気なキャラだった場合は珍しくないんですよ。『僕と彼女の×××』『AKUMAで少女』『先輩とぼく』とかでも元女側が主導権握ってますもんね。
 しかし、『山田君と7人の魔女』は男の方が不良であるにもかかわらず一向に自分のペースで行動できない! これは面白いですよ。というか、こっちの方が面白いですよ!
 だって、内気な少年が女の子になって、一層受け身キャラになって……じゃ当たり前すぎるじゃないですか。男らしいキャラが女になって、それでも振り回されてしまうのが面白いんです。

 とはいえ山田だって思春期の男の子です!
 やられっぱなしじゃありません。女子トイレに入って下着姿(+α)を拝むぐらいはしますよー。

 でも根が善人なのか、白石のイメージを崩さないよう、人目につくところでは「女の子らしく」振る舞ってあげようとします。
 うん、「女の子らしく」です。
 あくまで男子がイメージする「女の子らしく」です。
 過剰なまでにきゃぴきゃぴした「女の子らしく」です。
 つまり……「本物の女の子らしく」は、それ以上に「白石らしく」はないんですよね(笑) おかげでことごとく空回り。

 ここまでは、「TSモノとしての面白さ」を徹底的に押さえた王道的な作りなんですが、白石の体で過ごすうち、山田は彼女が抱えている事情を身を持って知ることになり――
 
 単なるコメディの道具として入れ替わりTSを用いるだけでなく、捻りを加え、さらに一歩踏み込んだ物語作り。
 一話読み切りとしても通用する綺麗なまとめ方であると同時に、連載の導入としても申し分ない内容。
 実に完成度の高い作品と言えますねー。これは当分、マガジンを購読する週が続きそうです……!

 ――ところで、『山田君と7人の魔女』ってタイトル、気になりますよね?
 最初は「魔女」って言葉から、入れ替わりの手段に魔法・魔術等が用いられるのかと思ったのですよ。
 しかし白石うららは(ちょっと厄介な事情を抱えているものの)普通の少女でした。
 となると、「魔女」とはもしかして「男にとって不可解な存在」である「女性」そのものを指しているのでは、という推測もできます。
 さらに、「7人」ってまさか……入れ替わり対象が7人登場するのか?と考えちゃいますよね。
 山田が入れ替わりによって「7人の魔女」――「7人の女性」を理解していく内容になるのでは、とか想像しちゃいませんか?

 いやいやいやいや焦るのはまだ早い。
 一般層向け作品での肩すかしは何度も食らってきたじゃないか。
 しかし……しかし、もし期待通りの内容になったとしたら、それはTS作品史に残る神作品となり得るやも……!
 妄想どまりになるかもしれませんが、まさかの超メジャー誌で目の離せない作品が始まったものです。

2012年02月20日

どっちを選ぶ?×2……だけじゃない?!『アイドルプリテンダー』1巻

 今週のTSモノ攻勢は一体どうしたことでしょうか。どれから読んでどれから感想を書くべきか悩ましすぎます(^^;

 で、まずは「俺が女の子になっちゃったら、百合かBLか、それが問題だ!」と帯の時点で始まりすぎているこの作品から行きましょう。

 晴瀬ひろき『アイドルプリテンダー』1巻(チャンピオンREDコミックス)

 主人公・因瑛太(ちなみえいた)は憧れの先輩に振り向いてもらうため、漢の中の漢を目指して日々荒っぽい生活を送っていた。
 しかし高熱で意識が朦朧としている時にうっかり怪しい薬を飲んでしまい――目が覚めた時には美少女の姿に!
 実はその薬、寮のルームメイトで変人の小栗圭介が大金をはたいて買ったもの。
 もう一度薬を買うためには、その美しさを活かしてアイドルになって稼ぐのが一番!と小栗に説得された瑛太は、漢の中の漢に戻るため、アイドル「ちなみ」として女を磨くことに……?

 「男に戻るために女らしくなれ! しかもアイドルとして!」という超速球展開。こういうの――大好きだぜ!
 ナルシストかつ女装趣味という小栗にワンピースをあてがわれてメイクまでほどこされ、鏡に向かったちなみの「俺がこんなに可愛いはずがない! 俺がこんなに可愛いはずがない!」という反応にはニヤニヤが止まりませんね。
 元の性格が性格なので、女らしく振舞うことに抵抗がある、けど外見はめっちゃ可愛い、という王道的ギャップ描写が充実していてたまりません。

 アイドルを目指す過程で、既にその業界で活動を始めていた憧れの先輩・北乃ユイカとお近づきになってしまったり、(変態だけど)なにかにつけて優しくしてくれる友人・小栗にときめいてしまったり、はたまた女装少年にも迫られたりして――!?
 男に戻って先輩に告白するか?
 女のままで先輩とつきあっちゃうか?
 女のままで友人とくっついちゃうか?
 多分ないけど、女のままで女装少年に身を許しちゃうか?
 性別の選択に恋愛ルートの選択まで絡まって、揺れ動くちなみの明日はどっちだ!

 TSっ娘をとりまくドキドキニヤニヤな要素が満載で破壊力抜群です。絵もひたすら可愛いですし大当たりですよこれはー。

2012年02月06日

操るアバターは生身の女の子?『NOT LIVES ‐ノットライヴス‐ 』1巻

 連載もちらっと読んでたんですが、単行本で1話目からちゃんと読んだら思ってた以上の当たりでした!
 だってね、表紙を見るとヒロインとおぼしき美少女の横に、ゲーム風の選択肢が描かれているのですよ。

「そのまま通り過ぎる」
「呼び止める」
「いきなり抱きつく」
「天宮鏡花を操る」

「天宮鏡花を操る」って。

「天宮鏡花を操る」って。

 大事なことなので2回言いました。ええもうこの時点で興奮必至ですよ! そりゃ買っちゃいますよ!

 烏丸渡『NOT LIVES‐ノットライヴス‐』1巻(電撃コミックス)

 多数の同人ゲームやソーシャルゲームを製作し、そこから収益すら上げられるほどの極度のゲーム創作バカ・三神シゲル。
 ユーザーのリクエストに応えるべく、いつものように大量の「資料用ゲーム」を買い込んで自宅に向かうのですが、途中で人とぶつかって荷物がバラけてしまい――慌てて拾い集めて帰宅後確認すると、見覚えのないゲームディスクがひとつ。
 『NOT ALIVE』とだけ書かれたそのゲームディスク。マニュアルどころかジャケットすら存在しないので、どんなゲームか予想がつかなかったものの「どんなゲームでもゲームであるなら資料になる!」と創作バカのポジティブ思考でプレイしようと、ディスクに手を触れます。

 しかしその瞬間、ディスクは彼の身体の中に溶け込み、
「ユーザー登録が完了しました
 情報をアバターへ転送します」
 というシステムメッセージが表示された後、彼は不思議な空間に取り込まれ、気が付くと――

 女になってる!!(どーん)

 ここ、過去最速クラスの「気付き」シーンだと思うんですがお読みになった方いかがでしょう?
 
 気付いた時点で目の前にショーウィンドウがあったものだから、はい♪
 右手挙げて
 左手挙げて
 頬つねって
 (貧乳だけど)胸触って
 スカート捲ってパンツ眺めて

 女になってる!!(どーん)

 ですよ。
 おいおいおいおい。なんですかこの美味しすぎるスタートはと(笑)
 しかもその女の子の姿のままで、「未知のゲーム」に興奮して瞳を光らせ頬を緩ませてるもんだから「別人になってる」感が強いのなんの。

 ただし、正確に言うと、これは三神シゲルが女の子になったわけではありません。
 フルダイブ型のゲーム世界で女性型アバターを操作しているわけでもありません。

続きを読む

2012年02月04日

生の代償――性の代償?『サイ:テイカー 2人のアルテミス』第0話

 林達永(イム ダリョン)&李秀顯(イ スヒョン)コンビのTSモノを読める日が来るとは……!
 こいつァ感動ものですよ。実は林達永さんが原作務めてる作品は掲載誌でチラ見する程度(あと『フリージング』のアニメを観た程度)で、単行本1冊も持っていないんですがたいてい組んでる作画担当さんの絵柄が大好きでしてね!
 じゃあなんで単行本買ってないかというと、買い始めるとキリがなくなるからです。仕事しすぎです先生!

 しかし今回ばかりは、禁を破って買わねばなるまい!
 『月刊コミックアライブ』3月号で連載開始された『サイ:テイカー 2人のアルテミス』は充分すぎるほど期待できるTS枠なのだから……!
 
 まずは設定のご説明――
 この作品世界には「ライフ」と呼ばれる特殊かつ万能な新資源があります。それは普通の人間には出入りできない「狭間の刻」でしか採取することができません。
 ではその空間を認識できるようにするにはどうすれば良いのかというと、「ライフ」を動力とし、それを特定の使用者にシンクロさせることで対象を超人に変化させる装備「サイ」と契約し「サイテイカー」になるのです。
 ただし、適性の問題があるので「サイテイカー」になれる人間は限られます。

 はーい質問きましたねー?
 じゃあそもそも、その「サイ」を起動させるための「ライフ」はどっから採ってきたのよ?って疑問ですねー。
 特殊装備を使わなければ採取できない資源を消費して起動する特殊装備……普通に考えれば成り立ちませんよね?
 まあそこには、公にされていない真実があったりするのです。
 つまり……現在世間に認知されている「サイテイカー」というのは人工的に作り出されたものに過ぎず、オリジナルが存在するわけなんですよ。
 そのオリジナルが使っていた道具と採取してきたライフを活用して創られたのが「サイ」だったということです。

 この辺、社会の裏で色々と揉めごとがありまして……前置き長くなりましたが、その揉めごとが原因で主人公の少年が事件に巻き込まれるのです。


 さーてそんじゃネタバレ行きますよー一般読者ならともかくここの読者はネタバレ部分こそが購読の理由になりますからねー。
 けど連載開始直後だし、思いっきり格納しますよー。

続きを読む

2011年06月18日

女体化魔法で遊び倒す! おバカ系TSコメディ『まじかる☆チェンジ』

 「商業の変身系TSモノはだいぶ増えてきたし、急いで買わなくても良いかなあ……」とか思っちゃダメですね!
 まだまだ面白い作品を描ける方は何人もおられるようです。

 ホームラン・拳『まじかる☆チェンジ』(SPADEコミックス)

 魔王ファンタム率いる魔界の軍勢が人間界に侵攻を開始。
 人間界を守るため、魔法の国の女王ガーネット・レッドから魔法を授けられたのは3人の少年。
 海老原れおは、あらゆるものをお菓子に変化させる魔法(MP10消費)。
 甲斐辰也は飛行魔法(MP毎時5消費)。
 
 そして真中大海は……あらゆるものを魅了する絶世の美女に変身する魔法(MP50消費)


 単に可愛い女の子になるだけじゃなくて魅了効果もあるもんだから、女体化した大海にファンタムがベタ惚れ。
 男子高校生が変身しているところを目の当たりにしているにもかかわらず、大海の女モードを「真の姿」と呼んでは求婚を繰り返します。もはや人間界侵略も、大海をおびき出す手段と化している有り様。

 まあこうやって大枠を説明するとありふれた内容に思えるかもしれませんが……痒いところに手が届く作品なんだなこれが。

 なにしろファンタムが大海に惚れた理由が「女の姿(ミニスカート強制)でパンチラを恥らって動けなくなってしまう大海にときめいたから」なんだから素晴らしい(^^)
 いまでこそパンモロ三昧で暴れまわってますけどね。
 しかし初出撃の頃は女の姿に慣れておらず、(おそらく生まれついての女性以上に)強い恥じらいを感じていたわけですよ! その事実だけでニヤニヤせざるを得ない!

 大海に対するファンタムの惚れっぷりも相当なもので、部下を巻き込んではおバカなことに全力を注いでくれるので毎度のドタバタにも飽きがきません。


続きを読む

2011年06月08日

少年バトル漫画における理想の憑依!『ケルベロス』7巻

 以前こちらの記事でも紹介した、フクイタクミさんの『ケルベロス』。
 7巻はいよいよ鴉崩編の後半戦、というか本番です!

 「冬子先生の肉体」を自分の身体にした鴉崩。
 彼は冬子の記憶を利用することで景の戦意を削ぎ、かつ冬子の肉体を盾にすることで、一方的に景を攻撃します。
 ほぼ完全に乗っ取られ身体の一部が異形と化した冬子先生に散々痛めつけられ、言葉でも弄られる景。

 「敵に乗っ取られた(or操られた)身近な女性にいたぶられる主人公」というシチュエーションが好きな人間にはたまらない内容です!!

 困りますよフクイタクミ先生! どんだけわたしの性癖刺激してくれるんですか!
 要所要所でわざと冬子先生の口調を真似るとか、あまりにもよくわかってる責め方です。
 非エロですが激しく興奮せざるを得ません。

 しかも、非エロでありながら絵的には確かにエロいのです。

 鴉崩に乗っ取られた冬子先生が、景を痛めつける時に浮かべる恍惚の表情。嗜虐の悦びに歪む口元。
 景を追い詰める時にあえて見せる、優しげな笑顔。

 どれも大変エロいです……!
 これ読んで目覚める少年が出てくるんじゃないかと期待しちゃいます。


 まあ、おっぱいも結構強調されてるんですが(爆)


 そして、こっから鴉崩編終盤の話なんで格納しますねー。思い切りネタバレします。

続きを読む

2011年05月08日

銀髪美女に変身して男漁り!『にょたいかっ』3巻

 まだまだ勢いのある良シリーズです。

 龍炎狼牙『にょたいかっ』3巻(MFコミックス)

 男女が逆転したままの真中&岩波さんのカップルは健在ですが、今回のメインは新キャラです。
 テレビでのデビューが決まったばかりの新人お笑い芸人・蛍川ケイは相方が突然いなくなってしまい全力で落ち込み中。その心の闇に目を付けた自称神様・ナナシにとり憑かれ、女に変身してしまう。
 魅惑的な肉体の美女に変身したケイは、男を襲って「輝力」(精のようなもの)を啜り集めるようになる。
 ナナシが言うには、輝力を集めることによってケイは芸人としての人気を得、ナナシ自身も神としての力を取り戻せるという。
 互いの目的のために共生関係を始めた二人だが――


 『にょたいかっ』読むと欲求不満になって困るんですよなもう!

 夜な夜な銀髪美女に変身して男漁りとか羨ましすぎでしょう。こっちも発情しちゃうでしょう。
 男を惹き寄せる極上のエロボディに妖しい美貌。憧れずにはいられません。
 ナナシ主導だった最初のうちこそ男の服を着たままですが、ケイが変身状態でも自由に動けるようになってからは、わざわざ露骨に扇情的な服を用意して男漁り楽しんでますからな。くっそー、いいなあ……。

 今回一歩引いた立場の真中も相変わらず憎らしいぐらいにエロ可愛いです。
 テレビの仕事とはいえ、しっかりボディライン見せつける服選んで女らしい仕草しやがって……その魅力、妬まれて当然だ!(ズレてるズレてる)

 
 真中と岩波さんの関係に絞るとマンネリ化の恐れもあるかなーと心配してましたが、新キャラ・ケイとナナシが予想以上に良い主役を務めてくれました!
 お話としてもエロ寄りのTSモノとしても大いに楽しめるエピソードでした。いやー龍炎狼牙さん流石ですわー。
 これなら4期目のクオリティにも期待できますね!

 他のTSモノと比べても入荷数の桁が違いますし、是非4巻を拝みたいところです。

2011年04月24日

寄生操り・憑依・融合……『ケルベロス』5巻以降を見逃すな!

 どのタイミングで書くか迷っていたのですが、ここらで(かなり偏った)応援記事を。

 フクイタクミ『ケルベロス』(少年チャンピオンコミックス)

 
 封印されていた化物「崩」を誤って解放してしまった十三塚景と、幼馴染の鶴原友恵。
 崩れに襲われた友恵を助けるため、景は狗骸・雪房と契約し、崩れを封印――「墓送り」にする「墓守」として戦うことになる。

 弱さを理由に逃げることなく、凶悪な敵に立ち向かう景の真っ直ぐな熱さがたまらない作品なのですが――それと同時に、一部の人間の性的嗜好のツボをやたらと突きまくる作品でもあります(^^;
 いやホント、最初はその熱さに惹かれて読み始めたんですよ?
 しかし、もうありえないレベルのコンボで自分の性癖を刺激しまくってくれまして!

 特に5巻以降は、自分と同じく寄生操りとか憑依(融合)&悪堕ちとかが好きな人間を大いに悦ばせる仕様となっております。

続きを読む

2011年03月01日

ブレない涼馬に被害続出?『世界の果てで愛ましょう』4巻

 「乙男女(おとめ)系コミック」という文句で売ってますが、電撃もそろそろデレて「TS系コミック」という言葉を使ってはどうだろうか。
 ほら、『うららちゃんのナカの人』なんて「二心同体変則TS」とか「新感覚【非】ラブコメTSストーリー」とか、帯で思い切り強調してるじゃん!

 武田すん『世界の果てで愛ましょう』4巻(電撃コミックス)

 4巻に至っても涼馬はブレません。
 意地っ張りで、自分の外見に無頓着で、女扱いにも妻扱いにも反発し続けています。

 第18話「北風と太陽」ではエアコンが無くて暑いからといって、風呂上りにパンツ一丁で家の中をうろつきます。
 「目のやり場に困る!」と父や弟から注意されても、「昔から暑い日はパンツ一丁が基本だったでしょ」「僕は男だ!!」と反発。さらに王子からも注意されたもんだから、完全にヘソを曲げて翌日からは下着姿で過ごすように。
 
 おま、おまえは……そのカラダで阿呆なことやるなあああっ!!
 男であることに拘るなら、男の心理にも配慮してやろうぜ!
 ――と登場人物たちの代弁もしてあげたくなりますが、ここに至っても女扱いに抵抗してるというのは褒めて良いかもしれません(^^)

 第19話「大自然のおしおき」では水着姿で海辺をうろついていたところ、早速ナンパに遭遇。
 いまだに不特定多数の男性を魅了するとは……。4巻までこの扱いが続くとはなかなかの安定感。いや、そもそも巻数を重ねるTSモノが少ないってのもあるんですが。
 この話ではさらに「僕の背中にもクリーム塗ってよ」という無防備発言によって余計な争いを生んでいます。涼馬マジ罪作り(笑)


 で、涼馬の特徴といえば無自覚に可愛さを振りまいていることだけでなく、わりと性格がひどいこと。
 いや第18話ん時の言動も相当ひどいんですがな、第22話がまた……。
 王子につけられた護衛をうっとおしがって逃げ回り、ゲートを使って王子の本星へ行ってしまいます。
 まあそこまでは良いんですが、メイドさんに変装していたところ仕事に引っ張り出され――
 会議中の王子に出すことになっている料理を食べてしまいます(爆)
 いや、おま……いくら生活に格差を感じるったって、普通やらんぞ!
 
 さらに、会議での王子の言葉にちょっとドキっとしたからといって、家臣の分のケーキを勝手に王子の皿に移し――
 何故か別の家臣のケーキを自分で食べてしまいます。
 いや二つ目の行動意味わからないから! おかげで会議室内に余計な混乱が(笑)
 
 しかもこの混乱から「涼馬様は殿下を愛しているのか?」という話題が持ち上がり、王子が自信満々に自説を披露。
 阿呆なことにその場の皆が納得してしまったものだから、腹を立てた涼馬はさらなる爆弾を投下して去っていくのです。
 いやあ……ひどいわ涼馬(笑)
 そういえば3巻の時もかなり悪魔じみた行動とってましたねこの子は。
 
 変身系、それも他人の手によって無理矢理女に変えられたTSっ娘となると受難なキャラになりそうなもんだけど、いや確かにそれなりに困らされてはいるんだけど……むしろ涼馬が周囲の人間に与える被害の方が洒落になってない気がするのでした。



 4巻終盤ではシリアスな展開になるのですが、ここでは詳細は書かないでおきます。
 ひとつ言えるのは、ああ、やっぱり涼馬ってブレてないんだなあ……ということでしょうか。

2011年02月08日

戦慄の精神汚染描写「女子攻兵」第1話

 とんでもない化物に遭遇した気持ちです。
 
 新創刊の『@バンチ』で連載が始まった、松本次郎さんの「女子攻兵」が凄い。

 女子高生型巨大兵器「女子攻兵」に乗り込んで戦う兵士たちの話なんですが、その兵器に搭乗していると徐々に精神を汚染され、女子高生的な思考になっていくのです。
 汚染度が5を超えると携帯電話(女子攻兵サイズなので巨大)で存在しない相手と会話したり、ありえないメールを受け取るようになってしまう。
 
 ……説明だけ聞いてるとギャグっぽく感じるかもしれませんが、怖いですよ?

 汚染が進みすぎると暴走するので処分されるのですが、それを担当するのも「女子攻兵」部隊。ここの隊員もかなり汚染が進んでいます。
 上官を「センパイ」呼ばわりしたりケータイで「家族」と会話したり、隊員同士できゃいきゃい盛り上がったり……。
 
 でもそこ、銃弾どころか砲弾飛び交う戦場ですから。
 全員重武装ですから。
 搭乗してるのは、同格の兵器でなければ仕留められない「次元兵器」ですから。
 
 正気を保っている兵士にとっては恐怖の現場です。
 それに、任務中にきゃいきゃい盛り上がってるっていうことは、隊員皆発狂寸前ということで――

 TSモノでは任務のために女性の姿になったり、精神が女性化していくのは珍しくないですしニヤニヤできるご褒美です。
 けど似たような要素でも、料理次第でこんなにゾッとするものになるとは!
 これは面白い。
 TSカテゴリに入れるべきかどうかは悩むところですし、自分自身別のポイントで楽しんでいるような気がするんですが、本気で面白いです。
 昨日立ち読みしてしまったんですが、どうにも語りたくてしかたなくなったので、今日あらためて雑誌を買ってきましたよ。
 この先どんな凄まじいものを見せてくれるのかと期待が高まります。


 ところで公式サイトにプロトタイプが掲載されているっていうので行ってみたんですが、会員限定っすか……。
 微妙に面倒で気分が萎えるなあ。無料ならそんなハードル設けなくてもいいんじゃないかと思うんですけど……。

2011年02月06日

深まる人間関係は嵐を呼ぶのか?『あめのちはれ』4巻

 面白さと不安が同時に高まるのよね! 繊細な描写も健在の群像劇です。

 びっけ『あめのちはれ』4巻(ビーズログコミックス)

 高校生活&性別変化が始まって一ヶ月が過ぎ、葉月たちの「女の子としての」人間関係も徐々に深まってきました。
 背が高くて格好良い雰囲気の円は知名度も高まってきたらしく、後輩の女子からラブレターを。
 葉月(月子)は勉強会の口実で明日美の家にお呼ばれ。こっちはあくまで友達としての関係なんですが、連絡を受けたトーマは「あーーーー今のままじゃ倒錯的すぎだ!!」と一人で騒いでます。
 大丈夫だよ! 君らの場合、男子といい雰囲気になっちゃう方が倒錯的だよ! でも葉月はそっちのルートも進行してるよ!(笑)
 明日美から「月ちゃん お兄ちゃんのこと好き?」と訊かれて「どうしてそうなる……!!!」と愕然としてたりしますが、むしろどうしてそう思われないと思うのか訊きたい! お前寮長と話してる時の表情鏡で見てみろ。あと、たった今明日美に答えてる時の表情もな。

 また五郎丸の方は、これまで嫌な印象を抱いていた桜子と女子状態で接触。
 アクシデントから守ったことがきっかけで桜子の素の言葉に触れたりして、思わぬ接近を。

 性別変化が原因で新たな関係が築けたり、より親しくなったりというのは勿論のこと面白い。
 しかしそれは同時に、抱える事情がバレる危険性と、バレた時のダメージが増していくということにも繋がるんですよな。だからもう読んでて落ち着かない! ハラハラする!
 
 彼らの秘密は女子になってる時のみならず、男子に戻ってる時にも影響を及ぼします。
 デート中の恋人相手に「ブラしてないの?」とぽろっと言っちゃう円には噴きましたね。それは男子が自然に言ったら不自然だ!(笑)
 同性じゃない、同性じゃないんだよ(^^;

 他の皆も、細かいところでぽろっぽろっとヒントをこぼしてしまったりして、周囲の人間に怪しまれ始めています。
 そろそろ大波が来そうな予感……。


 しかし一番深刻なのは不定期の性別変化ゆえに「突然の肉体変化そのもの」が交際の障害となるってことですね。
 1巻では葉月がそれでピンチに陥っていましたけど、今度は真城ちゃんが厄介な事態に。
 人間関係全般に奥手そうな子なのにやたらとディープな事情も明らかになって、これから待ち受ける難事を切り抜けられるのかが気になるところです。
 
 1巻読んだ時には「ハルちゃんのサポート能力チートすぎる……」と思ったものの、日常生活を送るのがこれだけ厄介となると、それなりに強力な支援がなきゃ話が広がらないんですよね、うん。
 


 ふと気付いたんですけど、この作品「性別変化のスイッチ」ははっきりしていますけど、そもそもの「性別変化の原因」は4巻に至っても未だに描かれていないんですよね。ぼやけたまま。
 でも、この作品特有の雰囲気にとっては良い方に作用していると思うので、当分明らかにならなくても良いんじゃないかなと思います。
 繊細な描写と雨に霞む空気感が大きな特色ですので、今の雰囲気を楽しみ続けたいところです。

2011年02月05日

そして、女になったら何がしたい?「男のうちにしたい10のこと」

 先に言っておきますけど、わたしから話聞かずに、何も知らずに漫画を直に読んだ方が絶対に面白いですからね!
 この記事書くべきか迷いましたもん。むしろ作品を楽しむ妨害にならないかって。
 しかしまあ、すぐ読みたい人はだいたい買ってる頃合いだと思うので、ギリギリのラインを守りつつ書いてしまいましょう。

 おりもとみまなさんの「男のうちにしたい10のこと」が素晴らしすぎる!!
 あ、『チェンジH red』に収録されています。
 
 主人公の佐藤ゴン吉は痔が悪化して肛門科にかかったところ、「急性女体化細胞疾患」を発症しており24時間以内に女になってしまうことを告げられます。
 ゴン吉自身は半信半疑だったが、両親から「残された男の時間をまっとうさせたいから早退させてくれ」と頼まれた教師がクラスメイト全員の前でそれを告げてしまい、「明日から女になる」ことが周囲にとって確定事項となってしまう。
「女になったらしたいことのアンケートとっておいてやるよ」
「思いもつかない答えが山ほど返ってくるぜ!!」

 と盛り上がる男子たちに見送られ、ゴン吉は早退。自室で「男のうちにしたい10のこと」を考え始めますが――


続きを読む

2011年01月20日

脳移植? いや、脳接続!?『フランケン・ふらん』6巻 Ep.43

 基本的に、『フランケン・ふらん』はそのブラック具合が好きで読んでいるものですし、異形は多いしハラワタもしょっちゅうぶち撒けられているような作品なので、萌えられるTSエピソードってのは期待してなかったんですよね。

 ところがぎっちょん!
 本日発売の6巻に思わぬTSエピソードが収録されていました。
 サブタイトルは「TWENTY FOUR」

 多額の借金を抱える中年男性・久世明がふらんに頼み込んだのは脳移植。
 十歳になる彼の姪・久世詩音は祖父と父親から莫大な遺産を受け継いでおり、明は彼女に成り替わることでその財産を手に入れようと企んでいた。
 ふらんは乗り気ではなかったものの、明と詩音が一緒に交通事故に遭って重体となったことで、結局ふらんが手術をすることに。

 明の身体は使い物にならないが脳は無事、詩音の身体はなんとかなるが脳の損傷は大きい。
 となると脳移植来たかーーーーっ!?と思うわけですが……いやこれ、詩音の姿で目を覚ました明もそう思うわけですが、実際にはもうひと捻り。
 明の脳は詩音の頭蓋には収まらず、かつ詩音の同意もないというわけで、詩音が抱いているクマのヌイグルミの中に明の脳が収まっているのです。神経は直接ケーブルで脊髄に繋がっています。
 
 これは……脳移植じゃないし、脳接続? 脳連結は前にもありましたが、どちらにせよケースが少なすぎてジャンル名ありませんな(^^;
 しかし実に『フランケン・ふらん』らしい。

 とまあ、かなり特異な状態ではあるものの、愛らしい十歳の少女の肉体を中年男性が動かしているのは確かなわけでして、言動のギャップとか本人に成りきる愉快さなどはちゃんと味わえます。
 また、しばらくすると詩音の意識が戻り、精神同居に近い状態に。
 その後の展開は……まあ伏せておくということで


 この漫画で、ビジュアル的に美味しいTSシチュエーションが描かれるというのが驚きでしたわー(^^;
 あ、他の話は相変わらずフリークスやら内臓やらゴキブリやらが大量に出てくるんで、そういうのを楽しめる人が買った方が良いです、ええ。

2010年12月25日

基本に忠実! TSの旨み教えます『めぐ・みるく』

 最近はTSモノもごそっと増えましたからね。連載開始時には「また変身TSモノ始まっちゃったけど、ブームに乗った急造品じゃなきゃいいなあ。ちゃんと持ち味あるかなあ」という不安もあったわけですよ。
 だから第1話読んだ時点では「悪い点は見当たらないけど、まだまだ評価保留! あ、でも髪が伸びてしっかり印象変わるのは良いね!」程度の印象でした。その後の連載は確認していません。
 が、単行本になったのを通して読んでみて――

 おお、これは基本に忠実で良いではないか!

 日下皓『めぐ・みるく』1巻(角川コミックス・エース)

 高校入学を控えたメグルと章は女っ気のない生活への不満をぶつけ合っていた。
 二人は幼馴染で、章はメグルの家に居候中。これで片方が女じゃないのはおかしい!と騒いでいたところ、それを本気の願いと受け取った天使の手によって、メグルが女の子に変えられてしまう。
 章と母親には本人だと認めてもらえたメグルだが、高校には女子として通うことに――

 TSモノが溢れている昨今だと「どれだけツボを押さえているか?」だけでなく「どこで捻ってくるか? 独特のウリはあるか?」が気になってしまうところですが、この作品はお約束の押さえぷりっこそが楽しめるポイント
 それではいくつか、TSモノのお約束要素に注目して書き出してみましょうか。

 ・TSの王道、親友萌え!
 気心の知れあった親友である章は、つき合い長いうえに同居人。接触系ハプニングの機会もそりゃあ頻繁に転がってるってもんです!
 メグルの方は完全に男同士の感覚なので、距離が近い近い。
 他の知り合いからかうために、わざと腕に抱きついて胸おしつけてきたりするんですから、やられる方はたまらないでしょうな。まあ自分はやる方が良いんですけど!
 しかし「リアルおっぱいマウスパッド」には噴いた(^^;

 ・理解のありすぎる母親
 やっぱり一番最初に順応したのはこの人だった。
 いつの間にやら学校側を誤魔化し、ちゃんと入学前に女子制服も調達してます。
 ウサギの髪飾りまでつけて、息子を可愛く着飾ってくれます。ムスッとしたメグルの照れ顔が素晴らしいですな!

 ・Hしちゃったら性別固定です!
 ここはちょっと予想外の要素もあったんですが、この作品、さりげに可逆モノです。
 女の時に女とキスをすると男に、男の時に男とキスをすると女になっちゃうんですね。
 「キスをできるような相手にとっての異性になる」ってことでしょうか。なんとなく、昔ぬ〜べ〜に登場した淫魔の子を思い出しました。男を好きになったから女で性別固定されちゃうやつ。
 「可逆ってことは、簡単に男に戻れるってこと? それはちょっと……」と不安になる人もいるでしょうけど、安心してください。ハプニングでもない限り、自分からキスできるような子じゃありませんからほとんど女の子のままです。
 そして、Hしちゃったら、その時の性別で固定!
 これは基本だよね! そこまで描かれることはまず無いんじゃないかと思いつつも、それを主人公たちに意識させるだけでニヤニヤしちゃうね!

 ・女子の友達が増えました
 男の時はまったく女っ気がなかったのに、可愛い女の子になった途端に、周囲に女の子が寄ってくる法則。
 まあ最近は「女子に嫌われるTSっ娘」というのもちょこちょこ出てきたんですが……やっぱりこっちがお約束かな。
 2人は女の子同士のつもりで友達になるんですが、残り1人・奏子は幼馴染なんで事情も知ってて、「異性として」興味持ってます。
 メグルが女の子になったことで毎日のようにどぎまぎさせられてる章と、急速に距離が縮まった奏子。どちらもそれなりに分量割いて描かれてるので、「どっちとくっつくの? 男に戻るの? 女のままなの?」とこの先揺れ動いていくであろうメグルを想像して楽しめますね。
 
 ・初めてのブラ!
 かつて、乱馬世代の同士は言いました。
 「恥じらいもなく女物の下着つけるようになったらダメなんだよ……!」
 メグルは女子制服着てても下着は男物。これはずぼらなわけではなく、はっきりした抵抗なんですね。当然ブラも嫌がります。
 女友達できたから、無理矢理ランジェリーショップに連れてかれちゃうんですけどね!
 恥ずかしいをしつつも、男として美味しい思いもしてるあたりはバランス良いと思いますね。うん、ここ以外でもラッキースケベなシーンがあったりするんですよ。間口が広がるので歓迎ですな。


 「TSモノってどんなもの?」と訊かれたら「これを読むと良いよ!」と迷わず差し出せる良作ですね。
 疑似百合ルート一直線でもなく、親友ルート一直線でもなく、どっちに転がるかわからない状態が安定して続きそうで今後も楽しめそうです。

 〜関連リンク〜
 「女の子になったら、のドキドキを詰め込んで!TS漫画「めぐみるく」がワクワクわーい!」(たまごまごごはん)

2010年12月20日

さめだ小判「ボクがあの娘であの娘がボクで」が単行本収録!

 本日20日発売の『さめだ小判の華麗なる生活』に、入れ替わりTSモノ「ボクがあの娘であの娘がボクで」が収録されていました!
 いやー、だいぶ前に『チャンピオンREDいちご』に掲載されたものの、読み切りなもんだからいつどの単行本に収録されるか、そもそも収録される保証があるのかもわかりませんでしたからね。切り抜き保存して、人に見せたりしてたもんですよ。
 再び人の目に触れる状態になって良かった良かった。

 内容はハイテンション気味でエロめな、幼馴染同士の入れ替わり。
 少年・まことの方は「幼馴染のセオリー」を言い訳に着替え中の少女・ちはるの部屋へ乱入するようなやつなので、入れ替わり直後から欲望に忠実です。
「しょっ…しょうがないな
 こうなったらお互いなにくわぬふりして生活するしかないだろ!!
 ああ…困った! まったく冗談じゃねーぜ
 なんで俺がこんな目に…!?」

 と言いながらニヤケ顔で胸を揉んでいる
シーンに、この作品のノリがよく表れていますね!

 常々「入れ替わり・憑依後の元男キャラはもっと性欲に素直であるべきだ!」と思っている自分としては、実に年頃の少年らしいまことの言動は「よく描いてくれた!」といったところ。まーここまで露骨なキャラは読み切りじゃなきゃ難しい気もしますが(^^;

 その後は、まことが男からエロい目で見られることに怯えたり、ちはるが膨らむ股間の対処に困ったり、結構エロいシーンがあったりと慌ただしいながらも楽しめます。
 希少な欲望忠実系商業TS作品としてオススメ。

2010年11月22日

身近な少女の肉体で甦るということ『少年式少女』2巻

 近隣の中規模書店には売ってなくて入手に手間かかりました。同じように苦戦する方もいると思いますが、諦めず取り寄せてもらうなりネット通販使うなりして買っておくべきものです。今回で完結巻。

 和田依子『少年式少女』2巻(アフタヌーンKC)

「彼女の中で目覚めた“おれ”の魂。
 シキの肉体に宿ったタケルの魂。「シキを絶対に助ける」と誓うタケルだが、その魂は徐々に崩壊していく。
 14歳、少年の無垢な魂が格闘する!!」


 帯に書かれている↑の文章は的確で、非常に重く、シリアスな物語です。
 1巻だけを読んだ人は、「少年の魂が少女の身体に入ったことによるドキドキとか、色っぽい場面がほとんどなくて、あんまり美味しくない」と思ったかもしれません。
 けどね、TS的な美味しさっていうのは、そういうライトなお約束ばかりじゃないんですよ。本領発揮は2巻収録分からです……!

 第9話のタイトルはそのものズバリ、「産むからだ」。
 第8話のヒキですぐぴんと来た人もいると思いますが、その通り、生理の話です。
 いずれ赤ちゃんを産む準備である生理、それを初めて経験し、痛む腹を抱えて横たわりながら、改めて「自分が女であること」を考えるようになるのです。
 単なるTSモノのイベントとしてではなく、ここまで突っ込んだ形で生理を使う作品はそう無いのではないでしょうか。

 第10話「つきあうってことは」では、唯一事情を知っている担任男性教師(前セン)の家を訪れた際、彼女のものとおぼしき服とコンドームを発見。先生はここで女の人とセックスをしてるんだな、と考えたタケルは奇妙な感覚に襲われます。
 腰のあたりから感じる熱、上気する頬。
 性的なことを「女の身で」初めて考えたことによって。
 今の自分が男を受け入れる体であるという自覚のうえでセックスを意識したことによって。
 タケルは自分でもよくわからないままにオンナの表情を見せてしまうのです。

 ここがもう……ゾクッとするほど色っぽい!!

 並大抵の作品ではこの顔は描かれない。女の肉体に宿った少年の魂というものを、その意識の変化を真摯に想像しなければ、この表情は描けない。

 「女である自分」を意識するようになったタケルですが、その自覚はまだまだ足りず、無邪気な行動が周囲との軋轢を大きくしてしまいます。
 男友達の感覚で特定の男子と仲良くしていたため、つき合い始めたと勘違いされてしまうのです。
 厄介なのは、「シキがタケルのことを好き」ということを、当のタケル以外多くの人間が知っていた、それどころか完全につき合っていると思われていたこと。
 つまり周囲からは「シキ(本当はタケルだけど)は前の彼氏が死んで間もないのに、もう次の彼氏を捕まえた」ように見えてしまうのです。
 この噂が一気に広まった時の、女子たちの言葉が怖い。

「すごいよね あの女」

 ……最近は「女子に嫌われるTSキャラ」というのも増えてきた気がしますが、事情を知られていないとはいえ、ここまで言われたキャラは他にいないでしょう。
 「あの女」呼ばわりですよ。
 この作品に登場する女子たちの言動やコミュニティのあり方は実に生々しく、無垢な少年であるタケルがまともに会話できた女子はほんの数人だけ。
 女性作家だからこそ描ける内容かもしれませんね。

 
 
 シキの中にいるタケルには、前セン以外誰も気づかない。
 誰もがタケルを死んだものとして扱う。
 前センですら、シキの中にタケルを見出したわけではなく、特殊な事情があって「見えて」いたに過ぎない。
 シキらしく生きようとしてみても、周囲との人間関係もろくに構築できない。

 自分を犠牲にしてでもシキを復活させようとしていたタケルですが、「自分が死んだ世界」で孤独に苛まれながら生きていくのは想像以上に辛く、徐々に精神をすり減らしてゆきます。
 さらに、ある疑念に囚われて追い詰められたタケルは、自分の中に潜むエゴにも気付かされ――

 物語は終局へ。
 語るのはここまでにしておきましょう。
 
 不可逆な憑依モノでは、死を扱うのは不可避。
 けれども、主人公が周囲の人間にとって死者であり認識不能だということを、他人として生きていかなければならないということを、ここまで徹底して真剣に描き切った作品というのは稀有であり貴重。
 女として生きることになった少年というものも、生々しく、真摯に描かれている。
 TSを扱った創作物の幅広さを知るためにも、是非読んでおいてほしい物語です。

 〜過去記事リンク〜

 3年間、大事な少女の体で生きろ「少年式少女」第1話
 向き合うのは、誰の不在か『少年式少女』第4話
 キャッチフレーズに恵まれた『少年式少女』1巻発売!

2010年11月10日

凶悪犯の霊に憑依されるいずな!『霊媒師いずな』第48話

 なかなか落ち着くことができず、もう何度も読み返している自分がいます(^^)
 いずなが、いずながついにやってくれました。
 
 『スーパージャンプ』No.23に掲載された『霊媒師いずな』第48話のタイトルは「殺人鬼いずな(前編)」。
 狂気の連続殺人犯が死亡してしまい、捜査への協力を求められたいずなは、彼の霊を呼び出すことで取り調べを成功させる。しかし、帰宅したいずなのもとへ殺人鬼の霊が現れ、消耗し切っていた彼女にとり憑いてしまう。
 完全に乗っ取られたいずなは、欲望のまま、身近な女性たちを刃にかけようと……。

 何これわたしの好みドンピシャじゃないですか! いずなには期待してたけど、まさかここまで理想的なものを見られるとは……。

 前にも言いましたけど、わたしは悪堕ち属性が強いんで、「憑依されてエロいことをする」よりも「憑依されて悪行に走る」方が興奮するんですよ!
 美少女が男の悪霊に憑依されて殺人鬼と化すなんて、最高に美味しいシチュエーションですね!
 可愛い顔に凶悪な笑みを浮かべているいずながたまりません。

 あ、エロい絵面のシーンもあるので、そっちにしか興奮できない方もご安心を。

 ふう、なかなか興奮が醒めません。
 いずなは思い入れ強いですからね……。
 『地獄先生ぬ〜べ〜』で登場間もない頃、降霊を試みてエロい女性の霊に憑依された時から、もう何度妄想のネタにしたことか。なにしろイタコ娘として登場したんです。憑依展開を求めるのは当然というもの。
 けど男性に憑依されたのは、悪霊を撃退するために、幽体離脱したぬ〜べ〜に体を貸した時ぐらいですかね?
 『霊媒師いずな』になってからは青年誌ということで「男に憑依されてエロい展開を!」という期待も一層高まったのですが、惜しいところを掠め続けるばかりで、もうストライクな展開はないんだろうなあと思っていたんですが……。
 この「殺人鬼いずな(前編)」は言うことなしです!
 単行本買い続けてたかいもあったというもの。報われたあ。
 まあ、普通にエロい展開が良かった、という人の方が多いかもしれませんが、わたしはもう満足してしまいました(^^;
 
 満足したと言いながら、後編でもうひとヤマあると嬉しいなとは思っちゃいますがね!

2010年07月04日

なんという変態妄想中二病漫画「漆黒のノイエゼーレ」第1話

 これは凄い! 「これはひどい」でも良いけど!(笑)

 吉田蛇作「漆黒のノイエゼーレ」ゲシュタルト1:覚醒T(月刊少年シリウス8月号)

 関東一円に謎の発光体が降り注ぎ、主人公の兄・龍之介はその直撃を受けて死亡してしまう。
 ぐちゃぐちゃに飛び散った死体の脇には、謎の美少女の姿が。
 本人が言うには、自分は兄の龍之介で、その姿形は直前にオナニーのオカズにしていた漫画のヒロインであるとのこと。

「ピンキー・ミミが悪の秘密結社の戦闘員達に輪姦されるシーン見ながら「うおおおっ ミミたんになって陵辱されたいいっ!!!」と思ったのを覚えている」

 って、おいっ?!
 おま、おまえっ……!
 ……ここは普通なら「変態だーー!!!!」と反応するところなんでしょうが、こう言わないわけにはいかないでしょう。
 「お前は俺か!」と!
 立ち読みしてたんですが、この台詞を見てすぐレジに持って行きましたよ!

 一般誌で初っ端からなんつー性癖を描いてくれやがりますかこの作者は(^^;
 オブラートが1μmも存在しません。

 龍之介の証言とその後の展開からして、どうやらこの発光体には人間の願望・妄想を現実のものにしてしまう効果があるようです。
 現実になる妄想と厨二展開……「妄想奇行」を連想しますね。
 あっちもかなり飛ばしてましたが、こっちもたいがいですな……。

 第2話は7月7日創刊の『ネメシス』に掲載されるとのこと。
 あ、第2話じゃなくてゲシュタルト2ですね(笑)
 タイトルといい展開といい、どこまで中二病っぽさにこだわるんだっ。いや面白いから良いんですけど!

 おがわ甘蘭さん他、主にエロで活動されている大好きな漫画家さんたちの連載もあるということですし、『ネメシス』は買わない理由がありませんな。

2010年07月03日

お前は誰を落としたいんだ葉月!『あめのちはれ』3巻

 雨が降ると女の子になり、雨が止んでしばらく経つと男の子に戻るという不思議な体質になってしまった葉月たち5人。
 男子校と女子高の両方に通ったりと色々大変そうですが、随分慣れてきたようです。

 びっけ『あめのちはれ』3巻(ビーズログコミックス)

 のっけからニヤニヤせずにはいられない……!
 脚を怪我してしまった葉月(女の子状態なので月子)が、ちょうど通りかかった男子寮寮長(北条先輩)におぶって運んでもらうというイベントが。
 「背中広いな」と思ったり、つい髪の(シャンプーの)匂いを嗅いでしまったりと、すっかり「背負われる側」になっちゃってますね。
 そして、女の子として接することで、寮長の優しい一面に気付いてドキッとしてしまったり。
 
 うん、TSっ娘が男相手にときめいちゃう瞬間ってのはやっぱり良いね!
 相手が男時代(男時間?)からの知人友人なら尚更です。

 まあそういったお約束的な楽しみ方も良いんですが、同じ人物に接する場合でも、男として会う時と女として会う時とで見えるものが違う、新たな関係を作れたりするって描写は面白いですよね。


 周囲バレのピンチなんかもあったりするんですが、皆なんとか凌いでます。
 トーマは女の子演技もわりと積極的にこなすしね。……このEカップめ!(←文脈無視の嫉妬)

 
 この作品の特徴といえば「不随意可逆変身」と「集団TS」なわけですが、それがモロに表れたシーンが3巻にもあります。
 ブラの洗濯についてきゃいきゃいと話す5人。こういう場面はTS仲間がいる環境じゃないと見られませんからね〜。
 なんとも素敵な空間です。
 しかし、身体が変化するタイミングは自分じゃ決めらんないわけで、男子の時に女子の下着を洗濯しなければならないという状況にも。
 あ〜、それは流石に恥ずかしいわ〜(^^;

 
 ところで、うっかり寮長にときめいてた葉月くんですが、借りたハンカチを返しにいく時に、何故か手作りのクッキーまで一緒にプレゼントしてしまいます。
 しかも女の子時間だったものだから、男の時には出来ないような会話を楽しんじゃったり、元気づけるような言葉を掛けちゃったりして、しちゃったりして……。
 …………。
 おま、お前は……一体誰を落としたいんだ葉月いぃーーーーっ!?!?
 妹の方狙ってるんじゃなかったのか、おい!
 トーマもツッコんでましたが、まさかここまで良い雰囲気になるとは仲間たちも思うまいよ……(汗)

 その葉月は描き下ろしの「寮監日記」でもさり気に可愛さを振りまいています。
 ジャージですけどな。飾り気・あざとさがなく、自然に可愛いのが良いんだまた。
 ……もうさっさと誰かに押し倒されちゃえばいいと思うよ!

 他にも記事のネタは溜まっていたのですが、葉月のあまりの暴走迷走ぶりにKOされてこれを書いてしまった……。
banner4.jpg