2012年02月06日

操るアバターは生身の女の子?『NOT LIVES ‐ノットライヴス‐ 』1巻

 連載もちらっと読んでたんですが、単行本で1話目からちゃんと読んだら思ってた以上の当たりでした!
 だってね、表紙を見るとヒロインとおぼしき美少女の横に、ゲーム風の選択肢が描かれているのですよ。

「そのまま通り過ぎる」
「呼び止める」
「いきなり抱きつく」
「天宮鏡花を操る」

「天宮鏡花を操る」って。

「天宮鏡花を操る」って。

 大事なことなので2回言いました。ええもうこの時点で興奮必至ですよ! そりゃ買っちゃいますよ!

 烏丸渡『NOT LIVES‐ノットライヴス‐』1巻(電撃コミックス)

 多数の同人ゲームやソーシャルゲームを製作し、そこから収益すら上げられるほどの極度のゲーム創作バカ・三神シゲル。
 ユーザーのリクエストに応えるべく、いつものように大量の「資料用ゲーム」を買い込んで自宅に向かうのですが、途中で人とぶつかって荷物がバラけてしまい――慌てて拾い集めて帰宅後確認すると、見覚えのないゲームディスクがひとつ。
 『NOT ALIVE』とだけ書かれたそのゲームディスク。マニュアルどころかジャケットすら存在しないので、どんなゲームか予想がつかなかったものの「どんなゲームでもゲームであるなら資料になる!」と創作バカのポジティブ思考でプレイしようと、ディスクに手を触れます。

 しかしその瞬間、ディスクは彼の身体の中に溶け込み、
「ユーザー登録が完了しました
 情報をアバターへ転送します」
 というシステムメッセージが表示された後、彼は不思議な空間に取り込まれ、気が付くと――

 女になってる!!(どーん)

 ここ、過去最速クラスの「気付き」シーンだと思うんですがお読みになった方いかがでしょう?
 
 気付いた時点で目の前にショーウィンドウがあったものだから、はい♪
 右手挙げて
 左手挙げて
 頬つねって
 (貧乳だけど)胸触って
 スカート捲ってパンツ眺めて

 女になってる!!(どーん)

 ですよ。
 おいおいおいおい。なんですかこの美味しすぎるスタートはと(笑)
 しかもその女の子の姿のままで、「未知のゲーム」に興奮して瞳を光らせ頬を緩ませてるもんだから「別人になってる」感が強いのなんの。

 ただし、正確に言うと、これは三神シゲルが女の子になったわけではありません。
 フルダイブ型のゲーム世界で女性型アバターを操作しているわけでもありません。


 すぐに判明するのですが、彼が操作している「少女型アバター」は自分の意識を持っていますし、喋ります。
 五感こそ共有していますが、独立した人格をもった一個の存在です。
 ぶっちゃけて言うなら――その「少女型アバター」は生きている人間です。三神シゲルと同じ世界で同じ時間を過ごし、呼吸をし、食物を摂し、感情を揺り動かす、まぎれもない人間。本物の少女です。

 三神シゲルのアバター、天宮鏡花はとある事情から普通の人間ではなく「アバター」と化してしまった存在。そして三神シゲルの立場はプレイヤー。

 『NOT ALIVE』とは、人間が人間を操作して戦う――殺し合うデスゲームだったのです。
 勝ち進んだ先に待つものはまだ不明ですが、ゲームオーバーの対価は大きく……うん、こっから先は実際に読んでいただきましょう。

 と言っても、「デスゲーム」と呼んでいる以上、半分ぐらいは想像ついちゃいますよね。
 もうよっぽど「これはゲームであっても 遊びではない『NOT LIVES』」ってタイトルで記事書いちゃおうかと思いましたよ(爆)

 まあ積極的にこのブログへ来るような人間は、先の展開よりも「『NOT ALIVE』プレイ中の主人公は、正確にはどういう状態にあるのか」の方が気になっちゃうかもしれませんね。
 これは自分も正確に理解しているとは断言できないんですが、まず1巻におけるログイン直後は2回とも、天宮鏡花の身体を自分のもののように使ってますよね。
 彼女の顔は主人公の感情のままに変化しますし、その手で自身の肉体を触って感触を確かめたりしています。
 しかしこれが戦闘中となると、特殊な空間でゲームプレイ用のインターフェイスを前にした表現に切り替わります(天宮鏡花の説明によると、この時の主人公は意識のみの存在)。
 んん? どういう状態なんだ? 女の子そのものになった気分で動けるのか? それとも外側から操作する感覚なのか?と疑問に思われる方もいるかもしれません。

 自分の予想としては――おそらく両方だろうと。
 オンラインゲーム等における視点切り替えと似たようなもので、状況に応じて切り替え可能なんじゃないかと。
 つまりね、「男の子が女の子になっちゃった感」「精神同居型憑依TSに近い感覚」は充分味わえるので安心して買ってください(爆)


 
 ところでこの作品、主人公が「プレイヤーとして優秀」な理由が「ゲーム製作者だから」ってのが面白いですね。
 ほら有名どころの作品では、突出した才能で活躍する主人公って「究極のプレイヤー」型じゃないですか。
 『ソード・アート・オンライン』しかり。
 『神のみぞ知るセカイ』しかり。
 『BTOOOM!』しかり。

 おい誰だ『BTOOOM!』は有名どころじゃないとか言ったやつは表に出ろ『おとぎ奉り』について1時間ほど語って聞かせるぞ。

 話が逸れました。
 上記の作品と違って、『NOT LIVES‐ノットライヴス‐』の主人公は「究極のクリエイター」型。
 クリエイターとして突出した能力を持つがゆえに、同時に「究極のプレイヤー」たり得るというタイプなんです。
 他にこういうタイプの主人公って誰がいましたっけ? 存在するとは思うんですが……。
 んー、すぐ思い浮かぶので近いタイプは、サンデーで連載してる『電波教師』の主人公ですかね? まあ彼はゲームに巻き込まれたり生死がかかってたりはしませんが。

 クリエイターとしての三神シゲルの才能が、プレイヤーとして今後どこまで、どんな風に活かされるのか。性的嗜好の他に、その辺にも注目して続きを待ちたいですねー。

この記事へのコメント
BTOOOM!は有名どころじゃなry
でも好きですw
Posted by 名無しです at 2012年02月12日 15:51
>名無しですさん
知名度のわりに、書店での扱いはわりと優遇されてんのやでー!
現在の掲載誌である『@バンチ』はかなりマイナーだけど良作が多いので、なんとか引っ張ってほしいところ……。
Posted by nekome at 2012年02月20日 23:38
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