確かな脚本の良質憑依AV！『憑依クリニック』

　サブタイトルまで入れると『憑依クリニック〜幽体離脱！　意地悪ナース、巨乳ナース、美人女医、新人ナース、女子高生、お姉様ナースに乗り移って女の身体でやりたい放題！〜』。
　DEEP'Sより発売された憑依モノのAVです。

・購買層への確かなアピール

　これは期待してたんですよね！
　まずジャケットに書かれたキャッチフレーズが「クールな女医も恥ずかしがり屋のナースも、一躍ドエロ女に大豹変！」。
　それですよ、「豹変」！　憑依エロに求めているのはそれなんです。
　自分たちがどんな人間を相手に商売しようとしているか、よくわかってるじゃないですか（＾＾）
　下手な出版社よりも勉強熱心なところがありますよね、企画系ＡＶメーカー。

・幽体離脱という設定を活かした憑依連鎖

　さらに、サンプルムービーを観た時点で「もしや」と期待してたんですが……
　この『憑依クリニック』、『ボディジャック』シリーズと違って「憑依相手の身体から抜け出した後、幽体の状態で移動してターゲットを発見、憑依」という乗り換え方をメインに採用しているんです！
　これは嬉しい！　『ボディジャック』シリーズに対して、自分がずっとダメ出ししてた箇所ですから。
　
　いやね、口移しで憑依相手を乗り換えることそれ自体はおかしくないですし、興奮もするんですよ。
　けれど、9割以上その方法というのは不自然。
　「スライム憑依」とかなら経口乗り換え万歳なんですが、「幽体離脱して憑依」なんですから、経口乗り換え縛りにするんならそれなりの理由を用意していただかないと。
　特に初めての憑依なわけですから、「口移しじゃないと身体を乗り換えられない」ということに気付くシーンが欲しいんですよね。
　一回でも気付きの描写があれば、それで充分なんですけど……まったく説明がないともやもやするんですよ。
　
　それに、その辺のこだわりはおいといても――
　折角幽体離脱してるんですから、幽体でうろついてターゲットを探し、その身体に入り込む描写が観たい！

　サンプルから期待していたとおり、『憑依クリニック』ではその身体乗り換え過程がしっかり描かれていて良かったですね〜。
　しかも、主人公が身体から抜け出すことで、直前まで痴態を演じていた女性が崩れ落ち、意識を取り戻した後に自分の格好と周りの反応に混乱する様子まできちんと描いていて完璧です。
　憑依された女性が一瞬苦しんで動きを止めるのもグッド。



・確かな存在感の脚本と、主人公の意志

　AVだからストーリーなんてあってなきが如しかな、と思ってたんですけど、結構丁寧に作られてるんです。
　まず主人公が憧れている女医の顔見せと、意地悪ナースの態度の酷さをアピール。　
　この意地悪ナースというのが本気でむかつくので、その後の主人公の動機づけとして有効に機能しています。

　あらすじに書かれているとおり、悪友からもらった「憑依する呪文が書かれている本」を意地悪ナースにからかわれ、無理矢理呪文を読まされた主人公は幽体離脱に成功。
　早速意地悪ナースに憑依します。
　普段さんざん嫌な思いをさせられているので、「この機会にエロくて酷い目に遭わせてやろう」という流れが実に自然ですね。
　復讐をしつつ、「女の身体で快感を貪ってエロい声を出す自分」を愉しむ様子も描写できている。憑依の愉しみ方を心得ていますわ〜。

　仕返しを済ませたあとは、憧れの相手である女医さん――ひびき先生を探して幽体でうろつきます。
　しかし見つからない。
　そこで更衣室を覗いてみると、ナース二人が合コンの予定を話していて、ひびき先生も誘ったと言っています。
　ひびき先生を合コンなんかに連れていかれてたまるか！と思った主人公は、合コンを仕切っているらしい巨乳ナースに憑依。
　そう、巨乳ナースの肉体を味わうためではなく、彼女の立場を利用するために憑依したのです。
　
　単なる行き当たりばったりだけではなく、主人公の確かな意思が見えるんですよね。
　憑依連鎖モノでここまできちんと筋立てが用意されているとは……。

　巨乳ナースの身体でひびき先生に会った主人公は合コンの中止を伝え、ついでに襲いかかってレズプレイを強要。
　ひと通り愉しんだ後はひびき先生に憑依し、今度は先生に成りすまして合コン不参加を告げるなど、なかなかの念の入れようです。
　
・細かなところまで行き届くこだわり

　憑依直後、憑依相手である女性視点の映像がいくつか用いられていたのは嬉しいですね！
　乗っ取った身体の視点で細い手指を眺めたり、胸の谷間を見下ろしたり。
　実際に経験できないことなだけに、こういう演出はポイント高いですよ！

　成りすまし要素がちょっと強すぎて、男が憑依してる感じが弱いかな？と思ったものの、ところどころでうっかりボロを出すあたりが丁寧ですね。
　「ひびきさんの身体は触らせないよ」と言ってしまって「「ひびきさん」？」と訝しがられたりとか、フェラを強要されて「他人（ひと）のものはちょっと……」と普通の女性であれば言わない台詞を口走ってしまったりとか。
　あ、二人目に憑依した際、口調だけは本人のフリをしておきながら、バレないように同僚の着替えを舐めまわすように眺めている演技は素晴らしかったです。

　当初の目的を達成した後、男とセックスに興じるまでをわりと早く感じてしまう人もいるかと思われますが、それでも最初は「女の快感を味わう（チ〇ポを入れる）ことには興味があるけど、キスとフェラには抵抗がある」ことが明言されるなど、ちゃんと「憑依TSにハマりたての男性心理」も考慮されており、評価してほしいところですね。

　「主人公の正体を知っているお姉様ナース」の正体は予想どおりだったわけですけど、今までの憑依TSモノAVにはない、まるでネットのTSエロ小説のようなオチであり、もしかしてこの設定から次作へ続くのか？と期待もしてしまいます。



　ルミナックス監督の作品を観たのは初めてだと思うのですが、期待以上に丁寧でツボを突いた作りに驚きました！
　これほどの実力を持つ監督さんがいらっしゃったとは……。
　今度作られると噂のアイドル憑依モノにも期待してしまいますよ！

Comments

nekomeさん、お久しぶりです。
おぉ！珍しく実写系作品のレビューを書かれていたんですね＾＾
nekomeさんの視点もホント参考になるんですよ！ふむふむ、結構評価が高かったようですね。
なるほど、身体を乗り換える時は幽体離脱状態で‥か。いわれてみたら今まであんまなかったですね＾＾；
私は大槻嬢の診察シーンで相手した女の人いたじゃないですか？あれがちょっと強烈すぎて‥痛恨の一撃を喰らわされました（笑）
はい、例の掲示板に書かれてましたよね。アイドルものの新作が出るって！そんなにたくさん憑依しなくてもいいからカワイイ嬢を起用してもらいたいですw

Posted by キラ at 2011年08月22日 16:45

＞キラさん
すいません！　ブログ放置気味だったのでコメントに気付くのが遅れてしまいました。
わたしもキラさんの記事を読んで「なるほどそういうところに重きを置いて評価するのか」と、視点の違いを面白く感じました。

わたしの場合、自分でエロ小説を書いていましたので、特に筋立ての良し悪しが気になるんでしょうね。

アイドル憑依は超期待ですよ！

Posted by nekome at 2011年09月06日 20:16