2010年07月20日

血と泥に塗れたリアルな魔法少女『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』

 劇薬注意!!
 とんでもない作品と出会ってしまいました……。

 伊藤ヒロ『アンチ・マジカル〜魔法少女禁止法〜』(一迅社文庫)

 あらすじは裏表紙から引用。

「『魔法少女禁止法』制定から10年。
 一切の魔法少女活動が禁止された世界で、
 引退を拒否して非合法のまま活動を続ける魔法少女がいた――。
 気弱で女の子みたいな所のある少年・佐倉真壱は、
 彼女に助けられたことがきっかけで女装魔法少女となり、
 元魔法少女を狙って起こる事件を追いかけることに……。」


 ここまで読んだだけだと、「ああ、元々可愛い男の子が女装魔法少女に変身する、よくあるコメディねはいはい」思ってしまうかもしれません。
 ていうかわたしがそう思いました。それでもなんとなく買いました。

 けれど、本当に注目するべきだったのは「女装魔法少女」じゃない。
 「非合法」の三文字だったんですよ……。

 多くの魔法少女チームの乱立・活躍により、人類を狙う怪物が全滅した世界。
 魔法少女たちの超人的な力は、一般人から恐怖の対象となっています。
 「魔法少女禁止法」の施行により、魔法少女に変身し、あるいは魔法を使って人間を攻撃した場合、一般人よりも厳しく罰せられます。
 そんな社会において、信念を曲げずに犯罪者と戦う魔法少女が描かれるわけですから――

 パロディではありつつも、徹底的にシリアスで、ハードな物語となっています。
 あまりにも生々しい描写・出来事が多いので、事前知識があってもぎょっとしてしまうかもしれません。
 しかし……間違いなく面白い。

 気軽に手を出すのはやめておいた方が良いと思いますが(多分ドン引きする)、以上の情報を得てもなお気になるようなら、是非読んでいただきたいところです。
 ――続刊絶対必要ですし!

 ところで、作者の伊藤ヒロさん、BLACK CYCでシナリオ書かれていた方だそうですね。
 担当された作品をプレイしたことはありませんが、ブランド名だけで納得のいくものがありました(^^;



 もっと作品の雰囲気を知りたいという人のために、序盤から少しばかり引用。

 殴られた拍子に一瞬、頚椎があり得ない方向へと捻れた。人間の首は強い衝撃を受けるとそうなるように出来ているものだ。喩えば大規模な交通事故に遭ったり、或いは魔法少女に右フックで殴られたりすれば。きっと何年もムチウチの後遺症に悩まされることだろう。
 同時に唇からは「おぶっ」という呻き声と、血と、折れた歯が何本も飛び出した。これまた魔法少女に殴られた人間の一般的な反応だ。
「お゛……うお゛おおおおおっ! お゛おおぉおおおおおおおおうっ!」
 男は痛みと衝撃でびくびくとのた打ち回る。


 言っておきますけど、これ序の口ですから!
 後半こんなものじゃ済みませんから!
 
 それに、ある魔法少女の末路とか、規制に引っ掛かってメディアミックス出来ないレベル……。





















 それから、このブログの性質上、一応書き記しておきます。
 女装変身以外に、TS要素あり。
 ごくごく僅かなシーンですが。

 ただ、この作品を女装モノに分類するのもTSモノに分類するのも抵抗があるんですよねえ。
 あえて言うなら、「非合法魔法少女モノ」でしょうし。
 トランス系の作品として見た場合は、「自分を助けてくれた魔法少女への憧れ」の描写はなかなかのものだったと思いますけど。
posted by nekome at 18:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 女装関連
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。
この記事へのトラックバックURL
http://blog.sakura.ne.jp/tb/39729621
※ブログオーナーが承認したトラックバックのみ表示されます。
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。

この記事へのトラックバック
banner4.jpg