2009年10月13日

敵も味方も過去から来た魂『双心のサヤ−刀姫推参!−』

 ちょおーーーーっ!? 個人的に思わぬ収穫がっ!!

 鳥生浩司『双心のサヤ−刀姫推参!−』(HJ文庫)

 大財閥の御曹司だが、メイドの紗耶と駆け落ちをして安アパート暮らしをしている上月雪柾。
 ある日、怪しげな暴漢に雪柾が襲われた時、紗耶に変化が。
 時代がかった物言いをし、刀を振るって暴漢を撃退した紗耶の身体に宿っていたのは、戦国時代のお姫様であり、雪柾の先祖でもあるというサヤ。
 なんでも、上月家に伝わる守り刀を通じて、紗耶とサヤの魂が入れ替わってしまったのだという。
 その後も、彼女たちはくしゃみをする度に入れ替わるようになってしまい……。

 というわけで、時代を超えての女同士の入れ替わり。
 見所としては、現代の知識がないゆえに奇行を繰り返してしまうサヤだとか。それを見て困惑する同級生たちとか。愛する紗耶の身体に他人が入っていることで、その扱いに雪柾が戸惑うさまとか。
 メイド=侍女とは「侍(さむらい)+女」と書くのだから、主に仕えるサムライガールのことなんだ!という解釈の下、
「妾が、そなたの侍女(めいど)になってやる!!」
 という台詞が飛び出て、実際その通りにメイド姿で日本刀を振るってチャンバラを繰り広げることとか。
 ――だと思っていたのですが!
 いたのですが!
 いやそれも確かにそのとおりなんですけれども!

 読み始めるまでまったく予想してなかったんですが、上月雪柾の命を狙って現れる連中というのが、最初の暴漢からすべて、サヤと同じ時代より送り込まれた禍魂(マガツタマ)に取り憑かれた人間だったのです!
 同級生の少女たちが、男性の禍魂に憑依されて集団で襲い掛かってくる展開もあり。
 つまり僅かながらもTS要素もあるということですが――そんなことより!

 重要なのは、わたしが「悪霊に憑依されたり催眠術で操られた少女に命を狙われるシチュエーション」に激しく興奮する人間だということだーーーーっ!!!
 禍魂たちは雪柾の命を奪うことしか考えていないので、色っぽい展開なんぞはありませんが、構いませんっ。たとえバッドエンドになっても(ならないけど)上等っ!
 もうこのシチュエーションだけで、わたしにとってはたいていの18禁作品にも勝るご馳走ですっ!!

 はぁはぁ。
 ……す、すいません、邪道な楽しみ方をして。
 でもこれは、こればっかりは変えられない。喋らずにはいられんのじゃああ……。
 くっ。禍魂に取り憑かれ、邪悪な笑みを浮かべながら刃を振るう少女の挿絵があったら言うことなかったんですが。<それはこの作品のウリじゃねえ

 あとですね。この「禍魂に憑依された少女たち」の中に、一人すっごく気になる娘がいるのですよ。
 殆どの場合、禍魂に憑依された人間は武器を取って襲い掛かってくるだけで、心が男なら口調も男のまんま、被憑依者の人格なんぞまるで無視、なんですが。
 一人だけ、何事もなかったかのように日常生活を送り、周囲に疑われることもなく本人らしく振る舞い、裏で黒幕として暗躍している人物がいるのです。
 彼女が憑依された(であろう)瞬間の描写が、またゾクゾクするので、以下に引用しておきます。
 ネタバレなので一応収納。




「こんな我がままを通して……今更、諦められるはずがないじゃありませんの」
 ――ふふ、そう来なくては。
「だ、誰ですの!?」
 どこからか声が聞こえたような気がして、蓮華は慌てて視線を巡らした。やはり更衣室には誰にもいない――だが、蓮華の瞳は戸惑いと共に止まっていた。
「え……?」
 蒼い月光を照り返す薙刀の刃に、口の端を吊り上げる自分自身が映っている。

(149ページより)

 わかりますか!?
 わかりませんか!

 この場面の後、彼女は影で動き回るようになるのですが……彼女の精神がどういう状態にあるのか、詳細は書かれていないのでわかりません。
 憑依者が彼女の記憶を読み取り、本人らしく見えるように演技をしているのか?
 あるいは人格が融合してしまっているのか?
 他にもいくつかのケースが想像できますが、果たしてどれなのか。
 そもそも、憑依者(がいるとしたら)はどんな人物なのか! 男なのか女なのか。
 ……すっごく気になります。
 どのケースかによって、自分がどういう風に興奮するのかが変わってしまうからです!

 しかし、「彼女」が表舞台に立つことはないまま、物語はエピローグを迎えてしまいます。
 ただし、「決着がつかなかった」ことが明言されているので、続きを書くことは可能。

 ……ぬ、
 ぬおおおーーっ! 死んでも2巻出せっ!
 絶対書かせるんだホビージャパン!

 
 あ、ええと、わたしの性癖は置いといて、真面目に良い話ですので、この作品。
 自分の不安定な立場に心揺れるサヤ。雪柾と紗耶の時空を超えた愛。二度と会えぬかもしれない者の影を追う少女たち。切ない想いが心を打つのですよ。
この記事へのコメント
あら、MC系でもあったのですね。勘ははたらくけどなかなか楽しむ暇がなにのが難点ですorz
Posted by あむぁい at 2009年10月14日 07:55
>あむぁいさん
ああ、いや、催眠術云々という部分はあくまでわたしの嗜好の話です。
この小説に登場するのは同性間の入れ替わりと、同性間及び異性間の憑依だけですね。

単なる「殺され萌え」やMC萌えな人はわりと見かけますけど、「操られた女の子に殺され萌え」な同士はなかなかいないですねえ……。

同好の士にはAXLの「ひだまり」というエロゲを勧めたいところですが、中古の値段が高騰しています。なんてこと。
Posted by nekome at 2009年10月14日 20:30
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