何故か最寄の書店から『アフタヌーン』10月号が消えてたんで出遅れましたが、本日入手して読むことができました。
和田依子「少年式少女」第1話「おれのゆくえ」
ん……? 和田依子?
ああ、『バーサス!』描いてた人か! あのAV女優とそのマネージャー兼営業の話の!
今単行本読み返したら、確かに巻末に「少年式少女」の名前がっ。
なるほど。「少年式少女」は憑依モノと聞いていたので、「青年誌で憑依モノとは画期的な!」と驚いたのですが納得しましたわ。
いえ、全年齢向けの憑依モノってのは、圧倒的に女性作家・少女漫画家が強いんですよ。
代表的な作品を挙げるなら『リターン』『あかねちゃんOVER DRIVE』、あと最近では『純★愛センセーション』も面白い。
(まあ、そもそもTSモノ全体にわたって、読み手の男性比率が高く、それに比べて作り手(特に絵)の女性比率が高いという傾向があるんですけど)
エロ直結にすることなく、他人の身体、それも少女の身体で生きていく少年の心情や日々の出来事を描くというのは、男性には難しいのかもしれませんね。
……いや、桃栗みかんこと河下水希さんは、かなり男性寄りな目線で描かれる方なんですけどね(^^;
ともかく、『バーサス!』を読んでいたこともあって、表紙で作者名を確認した時点でかなり期待が高まりました。
そんな「少年式少女」がどういう話かと言いますと……
家が隣同士の少年・伊東タケルと、少女・三浦シキ。
2人が一緒に登校していた時、わき見運転のトラックにタケルが轢かれてしまう。
その拍子にタケルの魂はシキの体へと飛び込み、望まずしてその肉体を乗っ取ってしまう。そして、押し出されたシキの魂は、死者としてあの世へ向かってしまった。
その後再び死にかけ、三途の川の渡し守と出会ったタケルは、事情を話してシキの魂を呼び戻してもらう。
しかし、一度死霊となってしまったシキは、そのまま肉体に戻しても蘇ることができない。
彼女に生命力を入れ直す間の3年間、まだ生命力のある「生き霊」であるタケルが、シキの肉体に入って生き続ける必要があった。
かくして、3年後の自分の「本当の死」を見据えつつ、タケルは大事な少女の体で生きていくことになる。
期待値、最大級。
見るべき所は沢山ありますよ。
タケルの魂がシキの体に憑依してしまう様子が「視覚的にすんなり納得のいくように」、ページもしっかり割きつつ描かれていること。
肉体と魂の不整合ゆえにか、タケルがシキの体を上手く動かせないなどの細かい描写があること。
タケルは「これも何かの縁だから彼女の分まで生きろ」という渡し守の言葉を強く拒絶し、その先に自分の死が待っていてもシキを助けると言い切るのですが、彼のそういった精神性にきちんと理由があること。
今後3年間シキとして生きていくタケルと深く関わるであろう人間が、既に複数配置されていること。
しっかり練ったうえで描き始められたであろうことが窺えますね。
あと個人的には、今後の主人公のサポート役が蜘蛛というのも嬉しかったり(爆)
TSモノの漫画は、肉体変化によって性別が変化する作品が豊作気味な一方、精神(魂)移動によって性別が変化する作品が少なく、また近いうちに『僕と彼女の×××』という入れ替わりモノの良作が終わってしまうということもあって、ここで憑依モノの連載が始まったのは非常に嬉しい!
第1話の作り込みからして傑作を予感させますし、今後のチェックと応援は欠かせませんね。
あとついでに。
和田依子さんの『バーサス!』がどういう作品か知りたい方は、こちらの記事を読まれると良いでしょう。
「AV女優は"底辺"の仕事? 業界で働く人間のリアルを描いたマンガ」
これで興味を持たれた方なら、まず楽しめるんじゃないかと。わたしからもオススメです。
2009年08月27日
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