2009年03月01日

色褪せぬ傑作憑依漫画『チェンジング・ツアー』

 たまには新刊以外のTS漫画の話も。
 以前から一度は書いておきたいと思っていた憑依モノの良作、おがわ甘藍さんの「チェンジング・ツアー」(『甘美少女DX』に収録)について話してみましょうかとー。

 おがわ甘藍さんの「チェンジング・ツアー」は、TSファンなら勿論のこと、ちょっとTSに興味が出てきた人にも絶対に読ませたい作品。ロリエロ漫画が好きな方なら、尚更。
 (そういえば、わたしは『甘美少女』を買うまでは、ロリ系の作品にかなり抵抗があったのでした。そもそもエロ漫画を殆ど読んでいませんでしたが)

 けれど、この作品はロリ好きな人には少々刺激が強いところもあるかもしれません。
 というのも、序盤のモノローグから凄い内容なのです。
 主人公の庵部は少女を金で買うような男なんですが、彼が考えていることというのが
「誓って言うが こんなことが 私の本当にしたいことではない
 愛くるしい容姿 華やかな声
 底知れぬ快楽を享受しうる性器(センサー)
 なぜ少女(こいつら)だけに私の欲しくてならないいくつもの要素が
 天から与えられているのか」
「妬ましくてならない」
「少女になりたい
 それだけが私の唯一のそして決して叶わない願望なのだ」

 だったりするんですから。

 この倒錯した身勝手な願望のストレートな吐露には、読んだ瞬間、かなりの衝撃を受けたもんです。
 というのも、心当たりがあったから――というより、当時、この作品を読む直前の時期に、ほぼそのままの説を新聞で見かけたばかりだったからです。

 実名で書いても問題ない気がしますが、一応伏せさせていただきますね。
 その記事は、書評欄に掲載された、本田透『萌える男』への某大学教授の評でした。
  「『萌え』が突き進んでいくと、自分自身がその『萌えキャラ』になりたいと思うようになる。この三次元の男の体を脱ぎ捨てて、『萌えキャラ』に自己同一化しようと欲する」のだとする本田さんの主張に納得の意を示した教授は、続いてこう書いたのです。
 「ロリコンや制服フェチの心理を、男である私を抜け出して、美少女の体に乗り移りたい欲望として分析したことがある」と。
 ……新聞で大学教授からそんなことを聞かされたことに驚きもしました。
 しかし、良いところに気が付くなあと思ったもんです。
 この説を聞いたロリコンの人がどう思うのかまでは確信できませんでしたし、反発を覚える人もいるだろうと思いましたが、何割かの人間は当て嵌まるのではないか、とは思ったんですよね。

 とはいえ、この主張を容易に受け入れる、ましてや自ら発する人間などそうはいないと思っていたのですが――
 一月と経たないうちに「チェンジング・ツアー」の庵部を目にしたわけですから、そりゃあ驚愕するってもんです。

 さて、その「少女になりたい」という願望を持つ庵部は、「他人の体に一週間滞在できる」という「ツアー」の存在を知り、滝川まきという少女の体に乗り移ります。
 滝川まきとなった庵部がどんな日々を送るのか――
 それは、実際に読んでもらうのが良いでしょう。結末まで含めて。
 
 ……この記事を書くにあたって、もう何度目になるかわからない読み返しを行ったのですが、やはり、これは理想的なTS漫画だと言いたいですね。
 「少女になりたい」と願った男が実際に少女の体を手に入れて、感じること、行うこと。
 それらがこうも的確に描かれた商業作品を、わたしは他に知りません。
 言い換えるのならば、「少女になりたい」という男の思考をなぞってみたいのならば、これほどうってつけの作品はそうそう存在しない。

 果たして、TS趣味のない人、TS嗜好の自覚のない人、ロリコンな人がこの漫画を読んだ時、一体どんな感想を抱くのか――気になるところですね。
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前: [必須入力]

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント: [必須入力]

認証コード: [必須入力]


※画像の中の文字を半角で入力してください。

この記事へのトラックバック
banner4.jpg