異世界転移と同時のTS。それはおそらく、数あるTSの中でも最も女の子ライフを満喫しやすいものなんじゃないでしょうか。
てぃんくる『月夜のフロマージュ』1巻(角川コミックス・エース)
掲載誌を読んでいなかったので、単行本化でようやく中身を知ることができました〜。
「異世界に飛ばされた主人公が目覚めると、女の子になっていた」話らしいという知識しかなかったのですが――
実際に読んでみると、もう少しややこしい現象だったらしく、「主人公・柊自由(みう)がギャルゲーのヒロインとデートする夢を見ていたら、白バク(という種族。外見は人間)の少女に夢を食べられてしまい、彼女の住む世界に連れ込まれてしまう。その世界で目覚めると、夢に見ていたヒロインの姿になっていた」というものでした。
おいおいおいおいおいおいおいおい。
なんだその愉快なスタートラインは(笑)
異世界転移+TSというタイプの物語は少数ながらも存在するので、喜びはしても驚きはしないのですが、主人公がギャルゲーのヒロインの姿になっているなんてことは予想だにしませんでしたよ。
ちなみに、服装までそのヒロインのものを模しているらしく、セーラー服標準装備です。
OK。ツッコまないでおくかわりに交代してくれ。
そうそう服装といえば。
第2話の初外出時には、世話になっている(というか、主人公がその世界に来た元凶の)少女・めありの服を借りているのですが、主人公は風に揺れるスカートを恥ずかしがります。
そんな彼にめありが放ったのが、この台詞。
「何言ってるの! 今オシャレしなくていつするのよ!
後になってもっと好きな服を着てれば良かったって思っても遅いんだから!
花の命は短いの 良い!?」
アンタは実に良いことを言った。
そうよその通り。いつまでも美少女でいられると思うな! というか、いつまでも美少女でいられたら呪うわ! わたしが。
TSっ娘は貴重なチャンスを存分に満喫すべし。そしてせいぜい恥らうがいい!
服装以外にも、初トイレとか初お風呂とか水着選びとか、元男の子がどぎまぎするシチュエーションがちょくちょく出てくるのはポイント高いですね。
そうなんですよ。本人の意識が「女」じゃないんなら、女の身体での初トイレや初お風呂は無視できないイベントなはずなのですよ。そこにちょっとでも言及してるかどうかで、評価は大きく変わるもんです。長期間女の身体で、初トイレイベントが確実に存在したはずなのに書かれていない、なんて作品は勿体無いというか不自然ですぞ!
(全年齢対象作品の場合ね。エロだと、たとえ長編でもそれどころじゃないから)
あと、夢の中限定なのですが、美少女姿のままでギャルゲーやらフィギュアやらを買い漁っている絵があるのは嬉しいですね。
こういった、外見とのギャップ、「中身は変わってない」感はTSの重要なツボです!
全体的に緩い雰囲気の作品なので、人によっては物足りなさを感じるかもしれません。
わたしとしても、めありたちの住む世界やら学校やらの設定が気になってしょうがないのですが……
その辺はツッコまずに、女の子分の高い、可愛く甘い世界にゆったり浸るのが、あるべき読み方なんじゃなのかもしれませんね。
上に書いたように結構ツボも押さえてありますんで、絵柄が好みなら、買って損はないと思います。
2009年02月27日
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>あと、夢の中限定なのですが、美少女姿のままでギャルゲーやらフィギュアやらを買い漁っている絵があるのは嬉しいですね。
>こういった、外見とのギャップ、「中身は変わってない」感はTSの重要なツボです!
それをギャップと感じる
美少女がギャルゲーやらフィギュアを買うことに偏見があると言うことに驚きます。
男だろうと女だろうと抑圧がなく好きなことが自由にやれるということが重要だと思いますので。
貴方のお相手を真面目にするべきかどうか、悩むところですね。
そういう「難癖をつけるための難癖」みたいな非生産的なことをやっても、誰のためにもならないと思いますよ。
一応説明しておきますが、ここはジェンダーフリー関係のサイトじゃないんですよ。
このジャンルにおいては、古臭いぐらいの男女観こそが好んで用いられるのです。他のジャンル以上に「女性に対する幻想」は強いでしょう。わたしはその辺りのことを意識して発言しているのです。
わたしの友人にはエロゲをプレイする女性もいますし、エロ漫画を読む女性も描く女性も知っています。偏見なぞ抱きようがない。
しかしそのことと、この場において「偏見のない意見」が求められているかどうかは別問題なのですよ。