2008年12月22日

Hなのは悪いコトですか?『キャノン先生トばしすぎ』

 TSと関係のないエロ漫画の話を唐突に書いてしまうことのあるnekomeです。
 まあここは18禁サイトですし、18禁なSSを普段から公開しているわけですから、成年向け作品の話題自体は特に問題もないでしょう。
 とはいえ、TS該当作の話題じゃない場合、エロ漫画を読む習慣のない方には置いてけぼり感があるかもしれない……。

 ――でも書いちゃうよっ! だって面白いんだもんっ! 特にッ、この作品はァッ!!

 ゴージャス宝田『キャノン先生トばしすぎ』(XOコミックス

 いやあ……今年中に読んでおけて良かった。「自分的カンフル剤なマンガ」に挙げる方がいるのも納得。
 エロ漫画好きなら、そうでなくとも漫画が好きなら、その「熱」を感じ取らずにはいられないはず。
 「成年漫画(エロ漫画)に付き纏う大きな三つの壁」を超えて、是非手に取ってみてもらいたい。

 あらすじは帯から引用させていただきましょう。
「鳴かず飛ばずの極貧エロマンガ家「ルンペン貧太」(30歳。彼女無し)が編集部で出会った謎の美少女。彼女こそエロマンガ界に彗星のごとく現れた売れっ子エロマンガ家「巨砲(おおづつ)キャノン」(1●歳。学生)その人だった――。ひょんな事から彼女の専属アシになってしまった貧太と、一見可憐で清楚な少女だが、ひとたび暴走するとエロエロになってしまうキャノン先生との、愛と欲望の日々を描いたヘンタイラブコメディ。」
 はい、わかりやすいぐらいにファンタジーです! エロエロです。
 ――だからどうした。あるいは、この設定でわかったような気になっちゃいけない。
 タイトルどおり、本気でトばしすぎです。

 読み始めて最初に思ったのが、とにかく楽しいということ。楽しくてしかたがない。
 Hの最中に、本人好みのシチュエーションの台詞を次々と垂れ流し、貧太から「マンガそのものだこの人――っ」と言われるキャノン先生の思考に、親近感を抱かずにはいられない。
 いや、流石にあんな物は入りませんが(謎)
 Hなことに向けるキャノン先生のエネルギー、こだわりは尋常ではなく、印象に残る名言(迷言?)を何度も聞かせてくれます。
「「どうしよう大変なことをしてしまった」その取り返しのつかなさがブっかけでは!?」
 などなど。
 あと、時折出てくる圧倒的な長台詞には敗北感さえ覚えます。
 いやまあ、こっちは別に高みを目指してるわけでもない、プロになる気なんてさらさらない人間なんですが。それでも一応、文章のみで活動している人間としては、漫画力ならともかく文章力で圧倒されると「ぐはあー」となってしまうのです。
 某ベストセラー作家が長いこと自作のコミック化を許可しなかった理由は「漫画家には絶対敵わないから」だったそうですが、こういう凄い作品読むと痛感しますね……。

 でもこの辺で引いちゃう人もいるんでしょうねー。それは仕方ないですよねー。
 けど、その先にも進んでから判断していただきたいところですがっ!

・「Hなのは、悪いことですか?」

 第八話「拝啓、あの日あの時あの勇者。」最終回「キャノン先生トばしすぎっ(はあと)」は涙なしには読めません。
 読み返す度に涙ぐみます。
 あ、ちょっとコラ、そこのエロゲーマー。「key作品みたく、哀しくて切ない展開があるんですねはいはい」とか思ったかい? 確かにわたしは鍵っ子。key作品プレイ時には、人に言ったら引かれるぐらいに泣き暮らした人間。
 でも違うんですよ。同じくらいボロ泣きしたけど違うんですよ。

 熱いんです。あまりの熱さに泣くんですよ。
 
 「エロマンガ家になるのが夢だった」と言う貧太に、同業者の海乃先生が訊ねます。
「僕が出会った作家は皆口々に言う… 「今はエロなんか描いてはいるがいずれは…」と… 「エロ落ち」「エロ抜け」という言葉もある… かく言う僕もいずれポルノより巨大な市場を持つ一般誌へ討って出るつもりです…」
「「応援して下さい」「頑張ります」と言いながら 誰もがどこかでポルノを恥じているっ それで当然と…そういう業界(せかい)なのだと思っていました…」
「貧太先生の発言は新鮮で衝撃的ですが とても信じられない… 本当にエロマンガ家になるのが夢だったんですか?」

 この問い掛けへの答えは、実際に読んでもらうのが良いでしょう。
 ……わたしは結構恵まれてたんですよね。母も妹も漫画好き。そして、エヴァの本放送時に中学2年生。直撃世代です。
 クラスに数人は、エヴァのことを話す人間が必ずいました。修学旅行で渋谷のアニメイトに行ったり、皆で劇場版を観に行ったりしました。高校の自己紹介でも「アニメが好きです!」と堂々と言うクラスメートがいて、握手を交し合って即座に親しくなったものです。
 好きなものを好きと言うことが、容易な時代でした。
(まあ、その後、TSという、男オタク同士ですら、そう簡単には打ち明けられない趣味に傾倒することになるんですガっ!!)

 そんな恵まれた自分ですが。普段の言動からは、恥を知らないかのように思われるかもしれない自分ですがっ!
 好きなものを好きということに、自信を持てる自分ですがっ!
 貧太の言葉にはさらなる勇気をっ、与えてもらえるのですっ!!

 ……エロで創作を行なうことに、躊躇を覚えてしまう人。あるいは、既に行動に移っているものの、今現在詰まっている人。
 そんな人たちにも、お奨めしたいと思います。
 きっと、背中を押してもらえますから。
 エネルギーを、受け取れますからっ。

 読み終わったら、こう叫びたくなる。
「Hなことは、何よりも大切な事だっ」
「そう思うだろ? アンタもっ!!」

・プロの熱量

 最後に、エロへの思いだけでは動かない人たちに、作中に登場するプロフェッショナルたちの言葉をお送りしましょう。
 まずは、第七話「貧太迷走」より、キャノン先生。
「作家は誰しも納得づくの作品を発表しているワケではありません 無限に時間がかけられるなら誰でも傑作が描けますが 我々は限られた期限に完成度をあげなければなりません」
「気に入らない線や描き直したい構図もありますっ もっといいセリフやオチも浮かびますっ しかし〆切を守るために それらを時に切り捨てていくのがプロの仕事です それはとても辛い決断ですが」
「今回の不満や心残りは次回で解消すればいいっ そうしてプロとしてのレベルを上げてゆくのですっ 次回に繋げるためにも 今っ間に合わせるコトが大事ですっ」

 そして、第八話「拝啓、あの日あの時あの勇者。」より、牛島編集長。
「いいかよ貧太くんっ キミ等がバツわるそうに電話切ったアトで俺達は 脂まみれになって駆けずり回るんだっ アチコチに頭下げて回るんだっ」
「作家が原稿オトしても 俺達が本オトすわけにはいかねえんだよ そんなコトが一度でもあれば 俺達のクビなんざ簡単に飛ぶんだ」
「たった一度のヘマで路頭に迷うんだよ俺達はっ 学生気分の抜けないお前らと違って… そういう責任を背負ってるんだ社会人ってのはっ」

 プロの熱を、感じ取ってほしい。
 そして願わくば、これを読んだ皆さんの創作魂にも、火のつかんことを。

 〜関連リンク〜
 あくまでも「エロマンガ好き」な人に向けての「キャノン先生トばしすぎ」のススメ。(たまごまごごはん)
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