志村貴子『放浪息子』8巻(ビームコミックス)
にとりんが非常に可愛くて、女装少年漫画として鉄板のひとつであるだけでなく、それ抜きで読んでもずば抜けて面白いこの作品。
子供たちの日常が、またリアルなんですよね。
特に小学生時代とか、よく当時の微妙な感情を表現しきれるものだなあと思いますよ。
さて、二鳥くんたちも中学2年生になったこの巻。
今回のキーキャラクターは、やはり土居くんですね。
はっきり言ってしまうと、彼の言動はかなり非常識で、無神経で、迷惑で、あまりお近づきになりたくないキャラクターです。
けれど、重要な役割を担っているんですよ。
それは「一般人の視点」。
わたしみたいな趣味を持っていると、女装美少年というのはそれだけでプラスの存在。
下手な女の子よりも価値を感じてしまう存在です。
可愛いのも当たり前。心を動かされるのも当たり前。
だからたまに忘れそうになるんですよ、「まったくそのケのない人間の反応」というものを。
第64話で、ニューハーフのユキさんに出会った土居くんは、こんなことを思います。
すげえな
男の美人て
想像つかねえ
わかんねえ
あいつも
あんなふうに
なんのかな
くっ……、文字だけ引用しても伝わりきらないよなあ(「あいつ」というのは二鳥くんですね)。
おそらく、最初の「すげえな」に感情が集約されていると思います。「わかんねえ」もそうかな。
圧倒されてるんですよね、その美しさに。そして、その美しい存在が男性であるということに。
倒錯的な趣味をまったく持たない彼の反応だからこそ、その衝撃の純粋さというものがわかります
あ、コイツ本当に感動してんだなあ、と。
ヤなやつですらあるんですけど、そんな、性的倒錯と親和性のないキャラだからこそ、その感動は信じられるというか。
うん、こういう視点が出てくると、なんだかホっとしてしまいます。
そして、心を動かされつつも、深くのめり込んでいるわけでもない土居くんはそれ故に、とんでもない提案をさらっと行なってしまうのですが……。
彼に悪意はなかったと信じたい。信じたいけれども。
は、果たして二鳥くんはどうなってしまうのか。またさらっと静かに切ってくださいやがってからに(汗)
二鳥くんにとって、大きな転機となるのかもしれません。今後も見逃せませんね。
……個人的には、圧倒されるほど「綺麗なもの」に出会ってしまった土居くんの将来も気になるところですけれど(^^
さらに個人的には、女装して街に出た二鳥くんの
もしかしたら見つかっちゃうかもと思って緊張したけど
すこし見つかりたいという気持ちもあって
ぼくは やっぱり変態なのかな……
というモノローグには共感せずにはいられない……。
まさに、このブログに書き込んでいる時がそんな気分だから!(爆)
2008年10月27日
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