木々津克久さんの『フランケン・ふらん』(チャンピオンREDコミックス)。
TSには1巻で掠ってる程度なのですが、中毒的なまでに好きな漫画なので、カテゴリ「日記」で書いてしまおうと思ったり。
これの2巻が出るのは随分楽しみに待ったものですよ。異形好きな人たちの噂を聞いて1巻を買ってから、何度読み返したか知れませんしね。
(そうえいば、石山さんもこの漫画が大好きでしたね)
1巻裏表紙の、イモムシ少女や歩く生首を見て惹かれたら買い。逆に、ここで引いてしまったら全力で回避を推奨。
グロ耐性の低い人には到底薦められません。……まあ、個人的には、そんなにグロいとは思ってないんですけどね。笑わせることを前提に描いているせいか、気持ち悪さを感じませんもの。わたしは近所で評判のケーキを食べながら2巻読んでました(^^;
小説にたとえるなら、ホラー&ハードSF作家の小林泰三作品が好きな人には向いてるんじゃないかと。
「Ep.7/HOLD ME TIGHT」なんかは話の運びも含めて小林泰三ファン向けだと思うんですが、どうですかね。わたしはもう、この回が大好きで。
TS目的で買うと(多くの人は)痛い目を見ると思いますが、もし買ったのなら絶対にカバー下のオマケ漫画まで読むこと。
爆笑必至です。
ジャンルを説明するのならば、メディカルホラーコメディといったところでしょうか。コメディというよりはギャグと呼ぶべきなのかもしれませんが。それもブラックな。
生命工学の天才、斑木博士。その作品であるツギハギだらけの少女、ふらんが主人公。彼女の超人的な医療行為(改造行為?)によって毎回惨劇が巻き起こる話……なのですが、別にふらんの悪意によって凄惨な事態になるわけではないのです。
むしろ、ふらんの思考は我々人類より遥かに善良。あるいは純粋。
自分に助けられる命は全力で助けますし(無理ならあっさり諦めますけど)、情に流されて手術代ロハで治療してしまったり、対価をデータ提供だけで手を打ってあげることも。
悪意に基づく行動というものに非常に鈍感で、きちんと代金を支払って仕事を依頼すれば、どんな依頼にも応えてしまいます。自分が暴力振るわれても気にしませんしね。
だから、悲劇の原因はたいてい依頼主の浅慮。あとは、彼女がしばしば手段を選ばないことと、たまに詰めの甘いことでしょうか。
ふらんのことは、「善良な科学者」というよりは、「科学技術そのもの」と解釈した方が近いのかもしれません。
(ただし、博士に対する悪意に対してだけは敏感です)
そんなふらんの2巻での活躍は、なんといっても「Ep.9/FAKE」が最高でしたね(^^
ある企業内で対立する勢力両方の依頼に応えて、色んな手術を行なっていくのですが、ふらんの支援を受けて抗争は激化の一途を辿るんです。ふらんもまさに「手が足りない」忙しさで、もうしっちゃかめっちゃかに。フツーに考えると、ふらんが煽ってるようにしか思えないんですが……そんな黒いことを考えられる娘じゃありません。ただ「仕事だから」こなしているという。ふらんの基本的な性格がよく表れた回でした。
絵的に好きなのは、やはり「Ep.12/MULTIPLIES」ですかね。
少女が分裂するんですが、細胞分裂をヒントにしているため、その過程が実にグロいという。
その光景を見たショックで吐いてしまった少年たちに「あ、ゴメン。好きな人のハダカ見てコウフンした?」と訊いてしまうところは実にふらんだなあと(笑)
こういう話ばかりのため、「Ep.11/SNOW LIGHT」には別の方向で吃驚しました。
「えらいお医者さんが病気でも、もっとえらいお医者さんがなおしてあげればいいんだもん」のくだりは、あんまりにマトモな漫画みたいだったので……(爆)
いや、それでもやっぱり犠牲者は出てるんですが(^^;
2巻の山場といえばヴェロニカの登場なのですが……姉(ふらん)のせいで、凄くマトモな娘に見えてしまいますね。
台詞だけを読むと、ふらんが良いことを言っているように聞こえてしまうのですが、絵を見るととても頷けないという。
「生命は、存在することそれだけで価値がある」を徹底するとこうなっちゃうという図。
これだから善意で動いてる人間はーっ!(笑)
3巻に掲載されるであろうエピソードにも黒い笑いが満載ですんで、今から楽しみです。
2008年08月05日
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