2008年04月30日

黄昏時の彼女(中編)

 ヤツと再会したのは、新学期になってから、沙夜香と一緒に下校した最初の日だ。
 この日は、付き合い出してから初めての、手を繋いでの下校。いかにもカップルらしい振る舞いに、俺はすっかり舞い上がっていた。これぞ肝試しの収穫だ、と。
 あの日本当に招いてしまったのは、そんなものではなかったというのに。



 俺の家の前に着いたところで、突然沙夜香が苦しみだした。俺の手を握ったままで、その場にしゃがみ込んでしまう。
 心配になった俺もすぐに腰を落とし、顔を覗き込もうとしたのだが――直後、沙夜香はすっくと立ち上がると、俺の手を引いて玄関へと向かい始めた。玄関の前へ着くと、教えたはずのない、置物に隠した鍵を取り出し、扉を開けてしまう。
「お、おい待てよっ。……沙夜香?!」
 声を掛けても、こちらにはまったく構う様子がない。靴を脱いで上がりこんでしまうと、ずんずん家の中を進んでいく。玄関の扉だけはなんとか閉めたが、沙夜香の力は異様に強く、手を握られたままの俺はなす術もなく引っ張られてゆく。
 迷うことなく進んでいった沙夜香が行き着いた先は……俺の部屋だった。俺を部屋に引っ張り込んでドアを閉めると、沙夜香は俺の背を乱暴にドアへと押し付け、ずいっと身を寄せてくる。
 ようやく視線を合わせ、ニヤリと微笑んだ。
「よぉ、久し振り――って言っても一週間程度だな。驚いたかっ? ははははっ!」
 この、沙夜香のものとは思えない表情に、乱暴な口調。
「まさか……お前、廃校の?!」
「そぉよ。さっき家ん中覗いたら留守だったもんでな。手っ取り早く連れ込ませてもらったぜ。ま、身体は連れ込まれる立場なんだがなっ」
 俺の家に上がったことのない沙夜香が、まったく迷いを見せなかったのはそういうことか。くそ、本当にヤツだというのか? 今まで握られていた手には、あの時のような冷気は感じなかったし、今沙夜香を注意して見つめても、あの血塗れの男の姿は見えない。
 少しでもヤツの存在を否定したくて、俺は思わず疑問をぶつける。
「なんだそんなことか。あの学校がそういう“場”だったんだろうよ。他の連中にも俺の姿は見えてたからな。霊感の強いやつはどうだか知らないが、基本的に、俺が近くにいようが見つけることはできないみたいだぜ?」
 確かに、俺が幽霊なんてものを見たのはあの時が初めてだ。言われてみればもっともかもしれない。では、沙夜香がヤツに乗っ取られているのは間違いないのか。なんてことだ……いや、「以前より沙夜香の身体に馴染んでいるからだ」なんて恐ろしい答えが返ってこなかっただけ、マシだと考えるべきだろうか。

「なぁ、そんなくだらないことはどうでもいいじゃないか。さっさとあの時の続きを始めようぜ!」
「続き……?」
「ああ、可憐な沙夜香ちゃんのストリップショーさ!」
 言いながら部屋の中央あたりまで移動すると、タイをほどいていく沙夜香。しゅるりと音を立てて抜き取られたタイが、床に落とされる。続いて、セーラー服の正面に付いているファスナーがゆっくりと引き下ろされる。白い肌とブラジャーが目に入り――俺は、慌てて視線を逸らせた。
「……お〜い、どこ見てんだぁ? 可愛い彼女が裸見せてくれるっていうんだから、しっかり楽しめよ。どうせ、今まで一度も見たことないんだろ?」
「やめろよ! 沙夜香が望んでることじゃないだろう!?」
「どうせコイツは覚えてないから気にすんなよ。お前だって見たいんだろ? 正直になれっての」
「黙れよ! とっとと沙夜香の身体から出て行けっ!」
「固いこと言ってんなよ。折角のチャンスだぜ?」
「うるさいっ!」
「……ふん、そうかよ」
 さっきまではしゃいでいた沙夜香は不機嫌そうに呟くと、俺に近づいてきた。脇をすり抜けて、ドアを開ける。制服は乱れたままだ。
「……おい、何処に行くんだ?」
「観客のノリが悪いんでな。夜の街にでも行こうと思ったのさ。この格好でなっ」
「な……!? ふ、ふざけんなよっ! 誰の身体だと思ってんだっ?!」
 あんまりなヤツの言葉で頭に血が上り、沙夜香の腕を掴んで引き止めようとする。
「きゃあっ! やめてっ!」
 女のような悲鳴に、俺は思わず手を離してしまう。まさか、沙夜香の意識が戻ったというわけでもないだろうが、反射的に動いてしまったのだ。
 沙夜香は両腕でその身を抱きしめたまま、こちらを見てニタリと顔を歪ませた。
「……状況が掴めたか? この女のすべては、今は俺が握ってるんだよ。街で見ず知らずの男に抱かれることも、お前に強姦されそうになったって警察に駆け込むこともできる。すべては俺の気分次第だ。わかるか? ん?」
 ぐっ……こいつ、なんてことを言いやがる。これじゃあ、俺は一切逆らうわけにはいかないってことじゃないか。
「ふん、理解したみたいだな。安心しろよ。お前が大人しく従ってる限り、他の人間の前でこの女に恥かかせたりはしないでおいてやるからよ」
「くそ……わかったよ。けど、本当だろうな?」
「ああ、お前さえ玩具になってくれれば満足さ。じゃあ、続きに移る前に……言ってもらおうか、「沙夜香ちゃんのストリップとオナニーショーを見せてください」ってな」
 調子に乗った要求に、カっと顔が熱くなり、思わず睨みつけてしまう。 だが、言うことをきかないわけには……
「さあ……どうした?」
「……さ、沙夜香の……ストリップと……オ、オナニーショーを……見せて……ください」
「ヤダぁ、キミ……ああ、諒一だったか、リョウ君ってそんなにエッチだったんだぁ。でもいいよ、わたしの恥ずかしい姿、たっぷり見せてあげるねっ!」
 沙夜香の声で投げつけられるからかいの言葉を、俺は黙って耐えるしかなかった。

 再び俺の正面に立つと、沙夜香はスカートへと手を掛けた。ホックを外し、ファスナーを下ろして手を離すと、スカートがトサッと床に落ちる。白く眩しい太腿と、やはり白く、シンプルなデザインのショーツが目に入る。見てはいけないと思うのだが、今は見なければいけない。それに、強制されて見ているのではあっても、その艶姿には思わず興奮し、唾を飲み込んでしまう。そんな情けない自分に嫌悪感を覚えた。
 続いて、沙夜香は背中に手を回し、ブラのホックを外したようだった。セーラー服の上着は羽織ったままで、ゆっくりとブラだけを抜き取っていく。すぐに乳房をさらすことはせずに、片腕で隠すと、こちらに視線を寄越してニコッと笑った。焦らしているつもりなのだろう。悔しいが、腕を押し付けられたことで豊かな胸の谷間が強調され、股間が反応してしまう。
 そしてとうとう、ショーツに手を掛ける。肝心の部分がこちらから見えないよう、身体の向きを変えながら引き下ろしていく。
 脱ぎ終えると、下着をベッドの上へ放り、胸と股間を手で隠したままでこちらへ向き直った。セーラー服の上と紺のハイソックスは身につけたままだ。
「無闇に全裸になるより、こっちの方がエロいだろ? ……沙夜香がいやらしいことするところ、しっかり見ててねっ」
 下卑た笑みを消すと、沙夜香はゆっくりと腕をどかし始めた。ピンク色の乳首と、股間の淡い茂みが露わになる。空いた両手を乳房にあてがい、下から持ち上げるようにしてみせる。
「んふっ。どう? わたしのおっぱい。結構大きいでしょう。それに、すっごく柔らかいのよ。……んっ……ふぅんっ……くふぅっ」
 挑発的な視線を投げかけ、見せつけるように乳房を揺すった後、やさしく撫で始める。かすかな喘ぎ声を漏らしながら、外側から円を描くように愛撫していると、次第に乳首が起き上がってきたように見える。すると、今度は実に嬉しそうな顔で両胸を鷲掴みにし、捏ね繰りまわしてみせる。沙夜香の細い指に力が込められる度に、その形に従って、乳房がぐにゃりと凹む。その感触を楽しむかのように、沙夜香はしばらく、ぐにぐにと乳房を弄んだ。
「ああっ……気持ちいい……ふぁんっ、んはっ、乳首……ビリってきた……あはっ……転がすと……凄く感じちゃう……んうぅっ」
 息を荒げ、だらしない表情で自らの胸を弄りつづける沙夜香。興奮を覚えないわけはなかった。彼女のこんな乱れた姿は、見たことがないどころか、想像すらほとんどしたことがないのだ。それぐらい、普段の清楚な彼女とは大きなギャップがある。
 目の前の「沙夜香」は、さらに有り得ない行動をみせる。ベッドに腰掛けると、こちらに向けて大きく股を開いたのだ。そのうえ、手で茂みを掻き分け、そこに隠れた秘裂をぱっくりと開いてみせた。
「ねえ……見て。女の子のココ……本物は初めてでしょ?」
 濡れた瞳に、上気した頬、甘い声で囁いてくる。
「ココに挿れたい? でもダメよ。今日はわたしが楽しむところを、じっくり眺めてて。んっ……くぅっ……んはっ……あっ、はぁっ、んあぁ……ふっ……くぅんっ」
 股を開いたままで、秘部を擦り始める。やがて、くちゅっくちゅっと水音が聞こえ出すと、中指を折り曲げ、穴の中へと差し込んだ。
「んっ……やっ……はぁんっ……んぅっ……気持ちイイ……あっ……ふうっ」
 ちゅぽっと音を立てて指を引き抜くと、股間から指にかけて、透明な糸を引いているのがわかる。テラテラと濡れ光るその指を、沙夜香は口に咥え、ついている液体を丹念に舐め取ると、妖艶に笑ってみせた。
 そしてまた、指で秘所を責め立て始めた。先ほどよりも手の動きが激しい。もう片方の手も胸にあてがい、乳首を弄り始める。水音と喘ぎ声も一層激しくなり、表情は快感によってどんどん蕩けていくようだった。
 俺の股間にも、一層血液が集まってくる。沙夜香の淫らな姿を、見てみたいと思わなかったわけではないのだ。だが、今の沙夜香は、自らの意思で痴態を晒しているのではない。どこの誰とも知らない男の幽霊に身体を操られ、弄ばれているのだ。そう思うと、怒りと悔しさで頭がぐらぐらしてくる。
 だが同時に、胸の奥に、奇妙な疼きを感じた気もした。
「やっ、あっ、はあっ、んっ……くうぅっ、イイっ、凄くイイっ! あっ、ここっ、あっあっあっ、はっ」
 「沙夜香」はますます自慰行為に没頭し、今では、割れ目の上にある突起を親指で刺激していた。もう、ベッドの淵には染みが広がっていた。
「あっ、はっ、うっ、クるっ! ああっ、キちゃうっ! あっ、はぁっ、やっ、あっあっあっあっ、いっ……はあああああああああっ!!」
 思い切り声を上げると痙攣し、ゆっくりとベッドへ上半身を倒した。
 いつしか沙夜香の裸身を凝視していたことに気付いた俺は、急いで視線を下ろす。股間のモノは、まだ収まってくれそうにない。当然だ。不本意とはいえ、自分の好きな子が目の前で半裸になって、淫らに乱れてみせたのだ。情けないことだが、男の本能ばかりはどうしようもない。
 自己嫌悪に陥っている俺の上に、影が被さった気がした。顔を上げると、ニヤニヤしながらこちらを見下ろしている沙夜香がいた。
「よ〜お。かなり苦しそうじゃねえか。んん? しっかり興奮してくれたみたいだなあ?」
 そう言いながら、沙夜香の足で、俺のモノを踏みつけてくる。くっ、今余計な刺激を加えられるとっ。
 ズボンの生地と靴下越しであっても、興奮しきったペニスにとっては、足による刺激でも充分すぎる快感だ。
「ははっ! ガチガチになっるじゃねえか! そんなにコイツのオナニー姿は良かったか? それとも、今踏まれてるから興奮してんのか? まさか、自分の彼女が操られてることに興奮してるんじゃないだろうな?」
 男丸出しの口調で俺を嘲笑いながら、ぐりぐりと足先に力を加えてくる。うっ、だ、ダメだ……!
 びくびくっ!と腰に響くほどペニスが震え、俺は下着の中に盛大に精液を吐き出してしまう。射精は、今までにないほど長く続いた。
 当然、足を乗せていたヤツにも伝わったのだろう、一瞬驚いたような顔をしたあと、凄絶に笑ってみせた。
「なんだよ、彼女に踏まれてイっちまったのか。そっちの趣味に目覚めちまったか? くははっ!」
 沙夜香の声で好き勝手なことをいうソイツに、俺はもう、反論する気力もなかった。
posted by nekome at 20:46| Comment(6) | TrackBack(0) | 創作・憑依
この記事へのコメント
後編じゃなかったのかYO!という声が聞こえそうです(汗)
けど、このままだと間違いなく前編の倍の分量になる、ということもあって3部作形式にさせていただきました。
いつものこととは言え、書き始めると膨らむこと膨らむこと…… 会話は相変わらず苦手ですが。
今回は、執筆が遅れたこともあってTiraさんの連載作品とシチュエーションが近くなり、ちょっと焦りました(^^;
まあ、方向性が違うからイイデスヨネ!

あと一回、次回こそ終わります。
Posted by nekome at 2008年04月30日 20:52
続きキタワー!!
背徳感たっぷりで最高ですねwww
彼女が憑依されて足コキとかつぼすぐるww

マイペースに更新頑張ってください!
Posted by k at 2008年04月30日 23:59
新作キター
失礼ながらいままで黙って閲覧していたのですが
好みの作品でしたので書き込みさせていただきます
背徳的な作品は大好きなのです
私からもマイペースにがんばってください
Posted by No name at 2008年05月01日 19:20
>kさん
ありがとうございまっす!
憑依+足コキは最高ですよねっ。普段は優しい彼女に見下されながら踏みつけられたりしたら……興奮必至!
憑依して踏みつける方もやりたいわけですが(^^;

>No nameさん
初の感想書き込み、ありがとうございますっ!
来ていただけるだけでも嬉しいですが、やはり、新たに声を掛けていただけるというのは、気持ちが盛り上がりますねっ(^^

自分が表現したいものが書けているか不安なところですが、好みに合って良かったです。

続きは、数日中にはお見せできると思いますのでっ。
Posted by nekome at 2008年05月01日 21:09
ああ、これは大丈夫!
ばっちり許容範囲です。
憑依している男が口にしたような事態がだけはやめて欲しいと思っていたところだったのです。

シュチュが似るのは当然のこと。
親しい人物とのギャップに萌えるのが王道の証ですから。

ううぉ、こっちもツボすぎるっ!
しかもしっかりイってるのが良いですなっ!
ああ、私も憑依できたらこれはやってみたいっ!
Posted by T.J at 2008年05月02日 07:50
>T.Jさん
お楽しみいただけたようで何よりです(^^
ふっふっふ、わたしは結構酷い発想もしますけど、基本的に快楽第一ですからね!

愛しい少女の身体を人質にとられること、その少女の身体で淫らに迫られること、どちらの理由でも、彼氏は逆らえないでしょうね。
そんな男を美しい少女の姿で翻弄する……これに憧れずにはいられないっ!
Posted by nekome at 2008年05月04日 14:01
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