――ドンッ!!
衝撃を感じた瞬間、身体は宙を舞っていた。
ただし、俺の目の前で。
たった今、どうやら車に撥ねられたらしい「俺」は、何故か、そのままの位置で道路に立っている。
――いや、立っていると言えるのか、これは? 何やら身体がふわふわと頼りない気がするし、靴裏に触れているはずの路面の感触もなければ、両脚にかかっている体重の感覚もない。それどころか、肉体にかかっていたあらゆる負荷がなくなっている、そんな気がする。
問題はそれだけじゃない。先ほど目の前で中に舞い、ちょうど今、どしゃりと地面に叩き付けられたものまた、俺――俺の身体であるはずなのだ。
じゃあ、こうしてソレを見ている「俺」は……なんだ?
まさか――幽霊? 死んじまったってことなのか? こんな……あっさり?
つまり、こういうことだろうか。
車に接触した瞬間、俺の身体は致命的なダメージを受け、即座に魂が分離。こうして、苦痛を感じる間もなく肉体とオサラバしたと。
いやいや、そんなに都合良く一瞬で死に至れるものだろうか。人体は時に、憎らしいぐらいにしぶといと聞く。
それなら、こういうのはどうだろう。
今までこそ発現しなかったが、実は俺が幽体離脱向きの体質で、撥ねられる際の衝撃か何かをきっかけにして上手いこと幽体離脱。肉体は大いに損傷したものの、俺の意識自体はダメージを受けずに済んだとか。
……それこそどんなご都合主義だ。
けれど実際俺は――そう、「俺の幽体らしきもの」はこうして肉体とは別に存在している。死人にアンケートをとることが出来ない以上、「普通、魂はどんな風に肉体から離れるのか」なんてことは知りようがない。こんなこともあるのだ、と思うしかないだろう。
ただ気になるのは、現実が後者の予想に近かった場合、再び肉体と結びつくことで生き延びられるのだろうか、ということだ。
一応、身体の状態を確認してみるか?
幽体の動かし方なんてものは学んだことがないが、試しに前進しようと念じてみると、ふわりと移動を開始した。宙を滑るようにして自分の肉体に近づき、覗き込む。
――見るんじゃなかった。
一見して即死とわかるほどの損壊具合ではないが、実に痛そうだ。感覚が繋がってないとはいえ、気分が悪くなってしまう。
別に、身体に戻らなくてもいいんじゃないのか
このまま魂と肉体が分離していれば、死は確実だろう。だが、肉体への帰還を試して、もし生き返れてしまったら、あの大怪我による苦痛が一気に襲ってくることになる。どんな障害が残るかもわからない。
よく考えてみると、この死に方は非常に幸運なものじゃないだろうか。一切の苦痛を感じる間もなく、肉体からの開放。この先何十年生きたとしても、こんな楽な死に方は二度と出来ないかもしれない。嫌なことしかない人生だった、とまで言うつもりはないが、強いて生き続けたいと思うほどの人生でもなかった。ここであらゆる義務や肉体的苦痛から開放されるのなら、それはそれで充分ありだろう。
桝村清人、享年24歳。それでいいじゃないか。成仏とかそういうものがあるかどうかは知らないけど、今現在はこうやって意識が存在しているんだ。消滅しないかぎり、好きに過ごさせてもらうさ!
俺は自分の身体、自分の人生に見切りをつけると、宙高く浮き上がり、その場を後にした。
幽体を動かすコツを掴んだのち、俺はしばらく覗き三昧の日々を送った。
なにしろ、今なら安全確実。バレる心配どころか、物理的な制約すらないのだ。女子更衣室や女風呂なんて、ありきたりな所だけで満足するものか。
たとえば、プールの水の中という普段は見られない角度から、水着姿の女性を眺める。ずっと潜りっぱなしでも苦しくならないのだから、便利なものだ。授業中の女子高生の足元に潜り込んだり、自転車で登下校中の少女の太腿を間近で眺めるのも面白い。今まではすれ違いざまにちらりと視線をやるのが限界だったのに、今なら触れそうなほど近くから、あらゆる角度で、相手の移動に合わせて飽きるまで眺めることが出来るのだ。遠慮がいらないというのは、なんと素晴らしいことか。なまじ全裸よりも、服を着たままの女性をしつこく視姦することに興奮させられた。
……だが、一週間もそんなことを続けているうちに、不満が溜まってきた。
いや、正確には我慢が出来なくなってきたのだ。俺が本当にやりたいことは、この程度じゃない。
そろそろ試したくて仕方がないのだ。幽霊としてこの世を彷徨うことが出来るのなら、一度はやってみたいと思っていたアレを!
それは、憑依。
乗り移るという響きも捨て難い。
美しい女性の身体に憑依し、その肉体を、我がもののように弄ぶ。そんな妄想を、生前散々繰り広げてきたのだ。幽霊になったからといって出来るとは限らないし、憑依自体は成功しても、望むように操れなかったり、その身体から抜け出せなくなる可能性だってある。だから、死んですぐ試すのは躊躇われたのだが……
このまま我慢していて、ある日ふいに消滅などしてしまったら、悔やむに悔やみきれない!
いちかばちか、試してみるとしよう。
最初に憑依するのなら、相手は誰が良いか。いざ実行するとなると、この段階で予想以上に悩んでしまう。俺の趣味で考えるのなら、やはり女子高生は捨て難い。だが、身体から抜けられなくなった場合を考えると、もっと幼い方が、その後の生活は楽かもしれない。たとえば中学生にあがる直前なら、勉強の内容も大きく切り替わるし、今の学力でもついていくのは容易だろう。私立に進学するのなら、人間関係も一から構築するから、なんとかなりそうだ。それにその場合、成長も楽しめるだろう。いや待て、憑依したその日から充分な快感を味わいたいんなら、いっそ大学生ぐらいの方が良いんじゃないのか? 大学のランクや学部まで調べておけば、なんとか乗り切ることもできるだろう。
いかん、考えすぎだ。
どうせ一度は死んでいるんだ。上手くいかなかった場合のことなど考えず、欲望のままに突っ走ってしまえばいいじゃないか。
ならば……どうする? 憑依した時に、最も興奮するのはどんな人間だ?
それはやはり、知り合いじゃあないだろうか。普段の姿を長い間見てきたからこそ、俺の意思がその肉体を動かす時とのギャップが楽しめるはずだ。
――こう考えている間にも、俺の幽体はとある一軒家へと向かっている。なんだかんだ言いつつも、既に目星はついてしまっているのだ。あとは、決断が必要だっただけだ。
俺が最初に憑依したい相手、それは大学で同じサークルに入っていた元同級生、櫛田由希子だ。
女優と名乗っても通用しそうな、美しく、少し派手めな顔。肩の下あたりまで伸ばした、ゆったりとウェーブのかかったボリュームある黒髪。Dカップはありそうな豊かな胸。その身体に、何度触れたいと思ったことか。
彼女は大学卒業後すぐに結婚。今は1児の母だ。卒業後に一度会ったことがあるが、こいつも股を開いて男を受け入れたんだなと想像し、表面を取り繕いつつも卑しい視線を投げかけずにはいられなかった。それに、あの肉体を思うまま味わった男がいる――そう考えると、嫉妬とまではいかないまでも、羨ましい気持ちになったものだ。だが今は、俺の方がチャンスを握っているのかもしれない。上手くいった時のことを想像すると、壮絶な笑みが浮かぶのを抑えられない。
さあ、見えてきたぞ。あの家だ。
場所を覚えていて良かった。2階の窓をすり抜け、家の中に入る。人の気配を探して下へ降りてゆくと、子供を寝かしつけている櫛田の姿が目に入った。しめしめ、ちょうど昼寝の時間か。櫛田は、リビングからひと続きになったキッチンへと向かっている。これから夕飯の準備でもするのだろう。だが悪いな、上手くいったら、予定は変更させてもらうぜ。
俺は櫛田のすぐ後ろに近づくと、大きく息を吸い――呼吸などしていないが、気分の問題だ――思い切って、その身体に自分の幽体を重ね合わせた。
「うっ……?! な、何……? 体……重く……ううっ、さ、寒い……なんで……?」
肉体と幽体をぴったり重ねるイメージをしてみたところ、壁や天井をすり抜ける時にはなかった強い抵抗を感じる。全身で拒絶されているかのようだ。ええい、細かい理屈はわからんが、抵抗を感じるってことは、俺の存在が彼女に干渉できているということだろう。なら俺の意思で圧倒してやる。この身体は俺のものだと強く念じる。加減などわからないから、とにかく全力で捻じ伏せる。俺がお前を支配してやるっ。
「や……何か……身体の中に……入ってくるみた……や、やだ、ああああ……」
櫛田の身体は、既にしゃがみ込んでしまっている。だんだんと弱まっていく抵抗。それを感じなくなったと思った瞬間、ずるりと引き摺り込まれるような感覚に襲われ――俺の視界は、一瞬暗転した。
俺はゆっくりと“目を開ける”。
ん……身体が重い……いや違う、これは“身体の重さ”だ。手と膝が、床に着いている感覚。顔をばっと動かすと、髪が首筋をくすぐるのがわかった。
「成功……したのか?」
女の声! 記憶にあるのとは多少違うが……櫛田の声、だよな。
下に目をやると、白いシャツとピンクの薄手のジャケットを、胸が大きく押し上げている。下半身を包むのはロングスカート。確かに、櫛田がさっきまで着ていた服だ。
ゆっくりと手を持ち上げて目の前にかざし、握ったり開いたりしてみる。動く。俺が思った通りに、動く。
「は、はは……やった、やったぞっ!」
櫛田の声で笑い声をあげる。ああ、口の中に触れる舌の感触さえ櫛田のものかっ。
「そ、そうだっ、鏡っ!」
きょろきょろと辺りを見回す。出来れば大きな鏡が良いのだが、近くには置いてないようだ。洗面台に備え付けてあるものなら充分だろうと考え、俺は廊下に出て、風呂場のありそうな方向へ向かった。スカートの中で、両腿が直に触れ合う感触がある。また、スカートの生地が脚を撫でるという、慣れない感覚も。
「うお……本当だよ……。本当に櫛田になってる……俺が、櫛田の身体を動かしてる……」
洗面台の鏡に映っているのは、両頬に手を当てて笑う櫛田の姿。嬉しくてたまらないといった表情だ。俺が腕を広げようと思えば、彼女が腕を広げ、髪に触れたいと思えば、その手で髪に触れる。笑った顔も、怒った顔も、間抜けな顔も、すました顔も、全部俺の思うがままだ。
「凄えや……櫛田の身体の全部が、今は俺のもの。この顔も、声も、ほっそりした手も、大きな胸も、お尻も、脚も……そう、髪の毛一本までわたしのものだ! ああっ、この台詞言ってみたかったんだっ!!」
これがはしゃがずにいられるか。笑いながら、思わず両腕で身体を抱きしめてしまう。すると期待通り、腕を押し返す弾力と、胸を押されたという感覚が伝わってきた。
「へへ、そうさ……一度、オマエの立派な胸を、思い切り揉んでみたいと思ってたんだよ……。くふふ、今なら遠慮はいらねえなあ」
一度は身体から離した手を大きく開き、ゆっくりと両胸へ近づけていく。流石にどきどきする。なにせ、女の胸に触ること自体が始めてなんだ。
「くふっ。ああ……これが櫛田のおっぱいの感触……はあ、はあ、やっぱでけぇや。はは……服越しでも……柔らけえ……」
初めての感触だ。やっとこれを味わうことができた。しかも、胸からは「掴まれている」という感触が伝わってくる。今は、櫛田の胸は俺の胸なんだ。
視線を上げて鏡を見ると、櫛田は美しい顔をニヤニヤと歪めながら、自分の胸を揉みしだいている。なんて異様でいやらしい姿だ。だが、これは俺がそうさせているんだ。
「た、たまんねえぜ……。そろそろ直接……」
いや、ちょっと待て。折角憑依したんだからじっくり味わいたいところではあるが、行き着くところまで行く前に、身体から抜け出す練習もしてみた方が良いんじゃないか? 簡単に出られるのならそれで良い。焦らずとも、身体を乗っ取る方法は一応わかったんだ、すぐに憑依しなおせばまた楽しめる。抜け出せなかった時は……まあ、その時だ。
念のためその場にしゃがみ込み、俺は櫛田の身体から抜け出すイメージを浮かべてみる。身体を動かさずに、幽体だけを動かすように念じる。すぐには上手くいかなかったが、しばらくすると、俺は櫛田の身体から徐々に浮き出てきた。5分ほどかけて、完全に抜け出すことに成功する。
よし、なんとかなったぞ。俺の方には……多分問題はないよな。眼下でも、櫛田が意識を取り戻したようだ。
「う……ん……あ、あれ? あたしなんでこんなところに……。確か、台所に向かってたはずなのに……」
首を捻りながら、辺りを見回している。どうやら、俺が憑依している間の記憶はないようだ。こりゃあますます遠慮はいらない。櫛田はしきりに首を傾げていたが、すぐに廊下を引き返し始めた。おおっと、そうはさせるか。入り方も出方もわかったんだ、改めて楽しませてもらうぜっ。
「おっかしいなあ。とにかく、夕飯の支た――ひっ?! や、やだ……また……う……あ……くう……ふうっ! へへっ、そうはさせないぜえ。うん、今度はさっきより素早くできたなっ!」
俺は櫛田の顔でニヤリと笑うと、再び鏡の前に立った。
「じゃ、今度こそ櫛田のすべてを見せてもらいますかね〜」
いやらしい笑みを浮かべながら、櫛田の手を使って、櫛田の上着をたくし上げていく。胸の上まで上げてしまうと、色っぽいデザインのブラジャーに包み込まれた双丘と、深い谷間が目に入る。
「うおっ! たまんねえ光景〜。こんな姿を見れる日が来るとはねえ。いや、こんなことをさせられる日が来るとはねえ」
正直な話、下着はつけたままの方が興奮するのだが、やはり触るのには邪魔になってしまう。少してこずりつつもなんとかホックを外し、ブラを床に放り捨てる。
「うはあ……ブラ外しても綺麗じゃねえか、櫛田のおっぱい。それに……くぅ〜、やっぱ直に触ると柔らかくて気持ちイイ〜。指に吸い付くみたいだぜ」
触られる感触もあるにはあるのだが、そちらは、特に気持ち良いとは感じない。やはりコツがあるのだろう。だが今は、この両胸を自分の手で揉む感触だけで充分楽しめる。鏡を見れば、櫛田が俺の目の前で自分の胸を揉みしだいている。複雑な指の動きに合わせて、その白い胸がいやらしく形を歪める。こんな光景を見ていて、柔らかい感触を味わっていて、興奮しないわけがない。
「おおっ? 乳首……勃ってきたのか? それじゃあ……んぅっ!? なんか……ビリってきた……やっぱ敏感なんだなあ。よぅし……んっ……ふぅ……んんっ……」
乳首を指の腹で軽く撫でたり、転がしたり、指の間に挟んだりしてみる。じわじわと、胸のほうからも快感が広がってきたようだ。今度は、思い切って乳首を摘み、軽く引っ張ってみる。
「んうう〜〜っ!? ……ほ、ホントに、感じるなあ。櫛田の身体……感じさせてるんだ……へへへ」
胸を弄っているうちに、だんだん股間のあたりがムズムズし始めた。もしかして、濡れているのか?
「さあ〜て、それじゃあ今度はスカートの中も……見せてあ・げ・る・ね♪ な〜んてなっ。くっくっくっ」
ちょっと馬鹿みたいな演技をさせてやるのも、また楽しい。ロングスカートに手を掛け、鏡を見ながら、じりじりと引き上げていく。白くむっちりした太腿が露わになり……やがて、股間をぴっちりと覆うパンツが姿を現した。
「男にこんな格好見せたりしたら、どんな目に遭っても文句言えないぜえ? ま、実際文句は言わないよなあ。自分の手で、もっと恥ずかしいことをしてもらうだけなんだからなっ」
鏡の前で服をたくし上げ、胸とパンツを露出した格好といい、今の言動といい、まったくあり得ない光景だ。こんな日をどれほど望んだことか。俺は興奮で震える手を、恐る恐る下着へと触れさせた。
「ん……湿ってる……のか? へへっ、やっぱ濡れてたんだなあ。じゃあこの辺か……んっ……ふっ……」
下着越しに、櫛田の陰唇を弄くる。指を前後させると、新たな快感が沸き起こり、湿り気もさらに増してくる。
「ふっ……んっ……はっ……気持ちイイ……ああ、いいぞ、櫛田のおま○こ……んんっ……はぁっ……もっと、もっと……」
俺が喋っているというのに、聞こえてくるのが櫛田の喘ぎ声だというのも最高だ。この状況には心地良い要素しかない。だがもっとだ。下着越しでは我慢できない。下着の中に手を差し込み、茂みをかき分けて、割れ目へと到達させる。
「これが櫛田のおま○この感触……もうびしょびしょだなあ。へへっ、クチュクチュいってやがる」
これなら充分だろう。膣口を探り当て、まずは中指を一本、ゆっくりと差し込んでみる。
「ん、うお……入ってくる……へえ、一本だけでも結構締め付けるのな。それにあったけえ……。何より……お腹の中で指が動いて……変な感じ、だけど、んんっ……気持ち……良……んっ……あっ……ふぁっ……」
すぐに、俺は指を二本に増やしてみた。単純に出し入れを繰り返してみたり、中で指をくいっと曲げてみたり、指を広げて、膣を中から押し広げようとしてみたり。膣内の感触を確かめつつ、色々な刺激を試す。
「あっ……んっ……はんっ……はぁ、櫛田のナカ、触り放題だっ。ふぅんっ……本人以外には……旦那と……赤ン坊しか知らない場所……んんっ……けど、今は、俺が……本人の次に……良く知ってるんだぜ……くぅっ……。あっ、はぁ……そう、俺の物だ……櫛田の膣は、今俺の物になってるのさ……ふふっ、ははっ、ざまあみろ……んぁっ!」
声に出して確認してみることで、余計に興奮も高まるというものだ。そうだ、今は俺が誰よりも、櫛田由希子を支配しているんだ……!
チュプチュプと響く水音に、唇から自然と漏れる綺麗な喘ぎ声。頭もだんだんぼうっとなってくる。気持ち良い……だが、まだ、足りない。何か足りない……
「そ、そうだ……指よりもっと……太い、モノ……」
何かちょうど良さそうな道具はないかと考えていると、俺の頭に、先ほどキッチンでみかけた物が浮かんだ。スーパーなどではまず見かけないような、ぶっといキュウリが転がっていたはずだ。この家か近所かは知らないが、おそらく自宅の畑で採れた自家製のキュウリなのだろう。あれなら……
俺は、すっかりグショグショになってしまった下着と、邪魔なスカートも脱ぎ捨て、下半身裸になってキッチンへと向かった。
「誰かに見られたらえらいことだなあ……ふふふっ、外から見えてないことを祈れよぉ」
キッチンに戻ると、そこには記憶の通り、太いキュウリが数本転がっていた。しかし凄い太さのもあるな。キュウリというか、まさに「瓜」だ。男のモノよりずっと太いじゃないか……
受ける刺激を想像して、思わずごくりと唾を飲み込む。とはいえいきなり太すぎるのもな、比較的細めのにしとくか。
「……いっつつ……くそ、結構とげっぽくて痛いな。このイボイボが良い、なんて話も聞くけど、このままじゃキツイだろ」
一応、表面を布巾で擦り取ってみたが、まだ膣内を傷つけそうで不安だ。だが、折角ベタな道具があるのに、それを活かさないというのも面白くない。
悩んでいると――ふと、寝室の棚の中にある、コンドームの映像が浮かんだ。
「……?! 今のは? まさか、櫛田の記憶か……?」
もしかして、上手くやれば、本人の脳から自由に記憶を引き出せるようになるんだろうか。
気にはなるが、今は、先ほどの記憶を活用するのが先だ。キュウリを持ったまま早速寝室に向かい、映像にあった引出しを漁ると、本当にコンドームが出てきた。
「ははっ! こりゃ面白れえ……。じゃ、使わせてもらいますかね〜」
包装を破って、コンドームをキュウリに被せてみたのだが……
「ぬぅ……結構薄いなあ……ええい、二枚重ねにしてみるかっ。妙に減ってることを怪しまれないといいな〜」
男の立場じゃないんだし、被せる枚数が多いところで、俺の快感に関係があるわけでもないだろう。
「さぁて、だいぶおあずけを食らわせちゃったけど……ありがたいことに、ここには鏡もあるしなっ」
そう、寝室には全身を映せるような姿見もあったのだ。その確度を少し下に向けたうえで、俺は絨毯の床に腰を降ろすと、鏡に向かってがばっと股を開いた。
濡れそぼつた膣口にコンドーム付きキュウリをあてがい、ゆっくりと押し込んでいく。
「くっ……! ううっ……太っ……押し広げて……ああっ……んっ……ふう……あ、は、奥まで……入った……」
確証はないが、子宮口まで当たっているんじゃないだろうか。流石に少し苦しいが、なんとも言えない満足感がある。だが、これからが本番だ。股間から飛び出ているキュウリを掴むと、前後に動かし始める。
「うっ、くぅっ、あっ、はっ、凄……ナカ……えぐられ……んあっ、あはぁっ!」
元々、指による刺激でくすぶっていたのだ、すぐに火がついたらしく、キュウリを激しく出し入れしてしまう。ただ前後に動かすだけでなく、時に回転させ、時に角度を変え、激しく膣の中を責め立てる。
「くはぁっ、あんっ、あっ、くっ、ふぅっ、ああっ! いいっ! 最高だっ! 櫛田のカラダっ! ふぁんっ」
股間から次々に押し寄せる快感、そんな快感を自分で味わえるということ、味わわせられるということ。二重の意味で俺は興奮し、櫛田の身体は、ますます高まっていく。
「はぁっ、はぁっ、そうだ、手、空いてるんだから……んはぁっ、クリトリス……も……折角……触っとか……なきゃ…あはっ」
空いている左手の指にたっぷりと愛液をつけ、包皮の上から撫ぜてみる。
「んひゃううっ!? ……ホントに……凄いや……ズルい……女はズルいよ……んっ、ふぅっ、ひゃんっ! くぅっ、はっ、あんっ」
包皮の上から指でクリトリスを挟み、揺らす。キュウリで膣を突き続ける手も止まらない。
鏡を見上げると、すっかり上気した色っぽい表情の櫛田と目が合う。大股開きでアソコにキュウリを咥え込み、クリトリスを弄り続けている櫛田。
「ううっ、はあっ、なんて……はしたない格好してやがる……旦那の留守に……あんっ、こんなもの咥え込んで……いやらしいったらないぜ……淫乱っ! このぉ、淫乱女めっ!」
そうだ! 今の櫛田由希子は淫乱女だ! 俺が淫乱にさせているんだ。は、ははっ! 最高だぜこの制服感っ!
「あっ、ああっ、そうよ……あたしは……由希子は……とってもいやらしい女なの……家事も投げ出して……我慢出来ずに、オナニーに耽っちゃうの……あはぁっ! んあぁっ、クるっ、なんかキちゃうっ!?」
興奮は最高潮に達し、身体の中から、何かが湧き上がってくる。膣がキュウリを締め付けている気がする。構わず、激しく出し入れを繰り返す。
「あっあっあっあっ、イクよ……由希子っ……イクよ……あっ、はっ、あっ、ああっ、由希子っ!」
とどめに、皮を剥いて、直接クリトリスを突ついた。
「あっ、ふっ?! あああああああああああっ!!」
――頭が真っ白になり、気が付くと、俺は部屋の天井近くをふわふわと漂っていた。最後にイった時の衝撃で、身体から抜け出してしまったのだろうか。あるいは、俺まで意識を失ったので、結び付きが解かれてしまったのかもしれない。
下を見ると、櫛田は股間にキュウリを挟み込んだまま、床に倒れている。目を覚ませば大混乱に陥るだろうなあ。……けど、後始末のために憑依し直すってのも、なんだか気が乗らない。このまま余韻に浸ってたいしな。
まあいいか、たいしたことじゃないさ。死ぬことに比べれば、な。くくくっ。
★あとがき★
最後までお読みいただき、ありがとうございました!
今回はあえて時間を巻き戻し、悪霊清人の誕生?を書いてみました。
清人視点でも書いてみたかったですしね。
「折角人妻に憑依したのに、旦那との絡みはナシかYO!」とお思いの方、清人はまだそこまでやりたいとは思ってないのですな。男と絡むのは、憑依して悪戯を繰り返し、だんだん刺激が足りなくなってからなのです。
「人妻を出すんなら、いっそ30代くらいにすればいいのに!」とお思いの方、今しばらくお待ちください。ちょっと今回のエピソードには不向きだったもので(^^;
さて、次はまた、ちょっと趣向を変えていくかもしれません。
お時間がありましたら、お付き合いくださいませ。
2008年03月30日
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一人称まで使いこなすとは……。
途中までの流れで若い子に憑依すると思ったのに!w
最初から最後までclimaxだぜ!
これで初憑依だとは・・・。
最強の変態素質の持ち主だ!!
私も若い子だと思いました…小さいうちから仕込んでってシュチュは最高です(願望爆発(笑))
恐ろしい子w(らき★すた、こなたの名ゼリフより)
さすが文章力が高いですね!
丁寧かつ大胆に描写されていて、このあたりの表現は脱帽です。
見習わなくちゃ…、むむう。
なるほどエピソード0…にも関わらず、
いきなりのきゅうり!
よし、拙者がきゅうりに憑依して動いて進ぜやう!
こうか、ここがええんかw うっ締まる!
はぁはぁw 暴走せよ欲望! ほとばしれ妄想!
…落ち着け私。
いやあ、使いこなせているかどうかはわかりませんけどねえ(^^;
今後書きたい作品の中に、どう考えても一人称向きのものがありまして。練習しとかないとなあ、とか。あと、初・体験なら本人の心情を書きたかったですし。
やはは〜。清人の好みのメインはもうちょい下なんですが、最初からしっかり楽しめそうな身体を選んでみました。
>シモンさん
彼が長年妄想してきた分が、一気に解き放たれたのですな。
脳内シミュレートという努力の成果です(違)
しかも実行可能となったことでタガが外れ、変態度はどんどこ増していくのであります(^^;
>D/Iさん
いやあ、どっかで書こうと思ってましたからね。適当にやりやすいところからスパーンと始めちゃったもんで、時間軸無視な掲載順に(^^;
>小さいうちから仕込んで
ああ、こちらにも誘導されちゃった人が。今回は残念でした〜。
そういうのはそういうので好きなんですけどネっ!
書くとなると……う〜ん、考えるのに結構時間かかるかなあ。でも、出来るんならどっかで書いてみたいかも。
ありがとうございますっ。
けれどまだまだ修行中ですよ〜。当初イメージした通りの形に出来なかったところもありますから、悔しいですねえ。
道具に勝手に動かれるのもいいですなっ。
こういうの使うとやらしいなあと思って出したキュウリですが、きっと痛いんで、実際はもっと別の道具の方が良いかもしれません(笑)
素晴らしい!><
征服感を感じさせる台詞がとても魅力的でした!
>>ああ、口の中に触れる舌の感触さえ櫛田のものかっ。
この台詞ゾクゾクきました♪
いよっしゃー! そう思っていただければ勝利ですっ<何に
>口の中に触れる〜
おお、そこに反応していただけるとは嬉しい限り(^^
わたしの中では、口腔内というのは非常にエロいイメージがありまして、そこを征服することで強い満足感を得られる気がするのですね。ああ、是非感覚を味わいたい。
おそらく、乗っ取った女性の身体で食事をするだけでも、大いに興奮してしまうと思います(^^;
次回作はちょっと方向性が変わりますが、その次はまた憑依全開で行きますので。引き続きご利用くださいませ〜。