玄関の扉を通り抜けた瞬間、全身に寒気が走った。自室へ向かい階段を登っている最中には、まるで走った後のように心臓が早鐘を打ち始めた。
風邪かとも思ったが、こんな風邪のひき始めが今まであっただろうか。なんにせよ大事を取って、家族が帰ってくるまで布団で横になっていた方が良いかもしれない。
そう思いながら勉強机の脇に荷物を降ろし、顔を上げた先で姿見に映った自分の顔が目に入った。
肩の少し上で切り揃えた艶のある黒髪。垂れ眼がちながらも大きな瞳。卵型をした顔の輪郭に、白く肌理細やかな頬。
見慣れたはずの自分の顔を、気付けば凝視していた。
「かわいい……」
無意識のうちに呟いた言葉にハッとなる。
「な、なに言ってるんだろわたし」
友達から「かわいい」と言われることはよくあるし、自分の容姿に自信がないと言えば嘘になる。でもいくらなんでも、自分の顔に見惚れあまつさえ賞賛するなんて、そんなナルシストだったつもりはない。
「やっぱり熱でもあるのかなあ」
よく見ると鏡に映る頬はうっすらと紅潮しているようだ。熱のせいで頭がバカになっているから、あんなことを口走ったのかもしれない。これはますます寝て休む必要がある。
風邪かとも思ったが、こんな風邪のひき始めが今まであっただろうか。なんにせよ大事を取って、家族が帰ってくるまで布団で横になっていた方が良いかもしれない。
そう思いながら勉強机の脇に荷物を降ろし、顔を上げた先で姿見に映った自分の顔が目に入った。
肩の少し上で切り揃えた艶のある黒髪。垂れ眼がちながらも大きな瞳。卵型をした顔の輪郭に、白く肌理細やかな頬。
見慣れたはずの自分の顔を、気付けば凝視していた。
「かわいい……」
無意識のうちに呟いた言葉にハッとなる。
「な、なに言ってるんだろわたし」
友達から「かわいい」と言われることはよくあるし、自分の容姿に自信がないと言えば嘘になる。でもいくらなんでも、自分の顔に見惚れあまつさえ賞賛するなんて、そんなナルシストだったつもりはない。
「やっぱり熱でもあるのかなあ」
よく見ると鏡に映る頬はうっすらと紅潮しているようだ。熱のせいで頭がバカになっているから、あんなことを口走ったのかもしれない。これはますます寝て休む必要がある。
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