懺悔しなければなりません。
名古屋で開催された『魔法少女まどか☆マギカ展』を堪能することを優先して、本書を読むのが遅れたことを。
そして全国のTSファンに命じなければなりません。
『魔王な使い魔と魔法少女な』を――全力で買い支えよ!!
みみとミミ『魔王な使い魔と魔法少女な』(スーパーダッシュ文庫)
アキバblogさんが発売直後に記事書いてくれたので、初動は悪くないと思いたいんですが……出遅れたっ!
この作品はすぐに読んですぐに宣伝して少しでも初動売上に影響与えて編集部営業に数字を見せつけるべきだったっ……! この才能を埋もれさせてはいけない!
一応最初に言っておきますと、イラスト効果もあってビジュアルのギャップはなかなかですが、本文中でのTSモノとしての描写は決して濃いものではありません。
が、主人公がTSするラノベで自分が今まで読んできた中では――ぶっちぎりに面白い!
主人公の男子高校生・朝霧瑞希は捨て猫のような少女を発見(ダンボールハウス製作中)。彼女が所持していた「契約書」に誤ってサインしてしまったところ、魔法が発動。少女は瑞希の「使い魔」となってしまう。
少女――リノは魔界の王、「魔王」を自称。事情があってこちらの世界で単身過ごすことになったのだが、先立つものもないし瑞希がうっかり「使い魔契約」してしまうしで色々困っているので同居させてほしいと懇願してくる。
そう悪い話でもないのだが返事を渋る瑞希。何故ならば、彼には他人に知られたくないとある事情が――
(こっから先はネタバレ含み&新鮮な読書体験を損なう恐れがありますのでご注意ください)
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2012年03月27日
2012年03月06日
君になったことで、君の名前を知った『ぼくは麻理のなか』連載開始!
『漫画アクション』(2012 3.20 NO.6)で押見修造さんのTSモノ始まったああああああああああああああああ!!
ってちょっと待ってどんだけ続くの、どんだけ続くの今年のTSモノ攻勢は(汗)
第1話サブタイトルが「童貞少女」というど直球な始まり方の『ぼくは麻理のなか』。
主人公の青年・功は大学デビューに失敗し、今や通学もせずにダラダラと無為に日々を過ごすばかり。
彼の楽しみは、毎晩決まった時間にコンビニですれ違う美しい女子高生(功曰く「コンビニの天使」)を目で追うことだけ。
名前も知らない彼女に惹かれ、コンビニから彼女の家まで後をつけることが日課になって早一年近く。
告白する勇気なんてない。
乱暴を働く気なんて毛頭ない。
ただただ、彼女の後をつけるだけ。
彼女の近くにいたいだけ。
彼女を少しでも知りたいだけ。
そんな功が、いつものように彼女の後をつけていた夜――
ぷっつりと記憶は途切れ、目覚めた功は、「彼女」になっていた。
彼女の身体。
彼女の服。
彼女の部屋。
彼女の姿に変身してしまったわけではない。彼女そのものになって、彼女の生活空間に存在しているわけです。
一番考えやすいのは憑依なんですが……まだ情報が少なく(と言うより、あからさまに隠されている)ので断定はできません。
それよりも語りたいのは、この作品の「気付き」のシーンが神だということですよ!
TSモノで「性別が変わっていることに気付く」シーンは重要……ってつい最近も同じこと描きましたが、『ぼくは麻理のなか』における「気付き描写」は他の追随を許さないかもしれません。
@肉体が別人になったことにより、違和感を覚える。
A自分の部屋ではないことに気付く。
B女の子になっていることに気付く。
C鏡で姿を確認する。
ここまで丁寧に描かれている時点で合格レベル。ですが、まだ続くのですよ……!
憧れの少女になっている! ならば、と改めて部屋の中を確認。
D家具・制服・ぬいぐるみ等の「所有物」に気付く。
E生徒手帳で名前を確認する。
生徒手帳で名前を確認する!
これを大ゴマで描いてくれるとは……っかー! わかってますな押見修造さん!
憑依や入れ替わりなどで「個人情報を把握していない人物になってしまった」場合、「何者になったのか」を知るのは凄く重要なわけですよ。当然といえば当然ですけど。
憧れの少女そのものになったというのなら尚のこと、その娘のことを知りたくなるわけです。
憑依・入れ替わり等によるTSは支配欲を満たすことにも繋がるものですが、「相手のことをもっと知りたい」という欲求に応えるものでもあるのですよ。
名前も声も、趣味も知らない憧れの君。
名前を知りたかった憧れの少女。
その娘になったことで名前を知った。
これ、凄く良い描写です。「実在する他人になってしまうタイプのTS」における喜びが、これだけ力を入れて描かれているとは……1話目から早くも感服です。
また、TSコメディなどでは基本ドタバタと騒がしく描かれることの多い「気付き」のシーンが、かなり静かに、抑えて描かれているところも本作の特徴ですね。
(自覚直後に叫ぶぐらいはしますが)
台詞も少なく、しかしひとつひとつ丁寧に、他人になっていることを、異性になっていることを、憧れの少女本人になっていることを確認していくのです。
思わずこっちまで泣いてしまいそうな圧倒的クオリティ……。良作の気配を強く感じますね。
第2話は4月3日発売の8号掲載とのことで、見逃せません!
ってちょっと待ってどんだけ続くの、どんだけ続くの今年のTSモノ攻勢は(汗)
第1話サブタイトルが「童貞少女」というど直球な始まり方の『ぼくは麻理のなか』。
主人公の青年・功は大学デビューに失敗し、今や通学もせずにダラダラと無為に日々を過ごすばかり。
彼の楽しみは、毎晩決まった時間にコンビニですれ違う美しい女子高生(功曰く「コンビニの天使」)を目で追うことだけ。
名前も知らない彼女に惹かれ、コンビニから彼女の家まで後をつけることが日課になって早一年近く。
告白する勇気なんてない。
乱暴を働く気なんて毛頭ない。
ただただ、彼女の後をつけるだけ。
彼女の近くにいたいだけ。
彼女を少しでも知りたいだけ。
そんな功が、いつものように彼女の後をつけていた夜――
ぷっつりと記憶は途切れ、目覚めた功は、「彼女」になっていた。
彼女の身体。
彼女の服。
彼女の部屋。
彼女の姿に変身してしまったわけではない。彼女そのものになって、彼女の生活空間に存在しているわけです。
一番考えやすいのは憑依なんですが……まだ情報が少なく(と言うより、あからさまに隠されている)ので断定はできません。
それよりも語りたいのは、この作品の「気付き」のシーンが神だということですよ!
TSモノで「性別が変わっていることに気付く」シーンは重要……ってつい最近も同じこと描きましたが、『ぼくは麻理のなか』における「気付き描写」は他の追随を許さないかもしれません。
@肉体が別人になったことにより、違和感を覚える。
A自分の部屋ではないことに気付く。
B女の子になっていることに気付く。
C鏡で姿を確認する。
ここまで丁寧に描かれている時点で合格レベル。ですが、まだ続くのですよ……!
憧れの少女になっている! ならば、と改めて部屋の中を確認。
D家具・制服・ぬいぐるみ等の「所有物」に気付く。
E生徒手帳で名前を確認する。
生徒手帳で名前を確認する!
これを大ゴマで描いてくれるとは……っかー! わかってますな押見修造さん!
憑依や入れ替わりなどで「個人情報を把握していない人物になってしまった」場合、「何者になったのか」を知るのは凄く重要なわけですよ。当然といえば当然ですけど。
憧れの少女そのものになったというのなら尚のこと、その娘のことを知りたくなるわけです。
憑依・入れ替わり等によるTSは支配欲を満たすことにも繋がるものですが、「相手のことをもっと知りたい」という欲求に応えるものでもあるのですよ。
名前も声も、趣味も知らない憧れの君。
名前を知りたかった憧れの少女。
その娘になったことで名前を知った。
これ、凄く良い描写です。「実在する他人になってしまうタイプのTS」における喜びが、これだけ力を入れて描かれているとは……1話目から早くも感服です。
また、TSコメディなどでは基本ドタバタと騒がしく描かれることの多い「気付き」のシーンが、かなり静かに、抑えて描かれているところも本作の特徴ですね。
(自覚直後に叫ぶぐらいはしますが)
台詞も少なく、しかしひとつひとつ丁寧に、他人になっていることを、異性になっていることを、憧れの少女本人になっていることを確認していくのです。
思わずこっちまで泣いてしまいそうな圧倒的クオリティ……。良作の気配を強く感じますね。
第2話は4月3日発売の8号掲載とのことで、見逃せません!
2012年03月03日
着込まれた彼女
ちょっと近道をしよう。
彼女と一緒の時に、それも既に日の落ちた時間に、そんなことを考えたのがいけなかった。
ビルとビルの隙間、薄暗い路地裏を通っている時に、彼女と繋いでいた手が「きゃっ!?」という悲鳴とともにぐいっと引っ張られ――引き離された。
「な、何?! やだ、離して!」
「千紗!?」
振り向くと彼女――千紗を後ろから羽交い絞めにしている男がいる。男、なのだろう。レンズに色のついた眼鏡とマスクをしているので顔はわからないが、体格から見ても男に間違いない。
いや、そんなことはどうでもいい。もっと恐ろしいのは、男の袖口から、銀色に光るなにかが姿を覗かせていることだ。
もしかして、刃物か何かを持っているのか?
「いや、た、助けて!」
「お、おいお前! 千紗を離せ!」
内心震えながらも声を張り上げると、今まで黙っていた男の口から、くぐもった声が漏れた。
「……大声を出すなよ。まあそう焦るな。今から面白いモンを見せてやるからよぉ」
ガタイから想像した通り、男の腕力は相当強いみたいだ。片腕で千紗を拘束したまま、袖口から銀色に光るなにかを引っ張り出した。ずるずると、やけに長細い……ん? あれは、え?
「見てのとおり、ファスナーだよ。ただし、ただのファスナーじゃないぜ。よく見ておけよ」
言いながら、男はファスナーの片方の先端を千紗の後頭部へと近づけていく。
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彼女と一緒の時に、それも既に日の落ちた時間に、そんなことを考えたのがいけなかった。
ビルとビルの隙間、薄暗い路地裏を通っている時に、彼女と繋いでいた手が「きゃっ!?」という悲鳴とともにぐいっと引っ張られ――引き離された。
「な、何?! やだ、離して!」
「千紗!?」
振り向くと彼女――千紗を後ろから羽交い絞めにしている男がいる。男、なのだろう。レンズに色のついた眼鏡とマスクをしているので顔はわからないが、体格から見ても男に間違いない。
いや、そんなことはどうでもいい。もっと恐ろしいのは、男の袖口から、銀色に光るなにかが姿を覗かせていることだ。
もしかして、刃物か何かを持っているのか?
「いや、た、助けて!」
「お、おいお前! 千紗を離せ!」
内心震えながらも声を張り上げると、今まで黙っていた男の口から、くぐもった声が漏れた。
「……大声を出すなよ。まあそう焦るな。今から面白いモンを見せてやるからよぉ」
ガタイから想像した通り、男の腕力は相当強いみたいだ。片腕で千紗を拘束したまま、袖口から銀色に光るなにかを引っ張り出した。ずるずると、やけに長細い……ん? あれは、え?
「見てのとおり、ファスナーだよ。ただし、ただのファスナーじゃないぜ。よく見ておけよ」
言いながら、男はファスナーの片方の先端を千紗の後頭部へと近づけていく。
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