久々の更新ですが、これで復活、とは言い切れなかったりします。とりあえず、この作品だけは紹介しておきたかったので。
単行本で読んでいた方はご存知だったのでしょうけど、最近文庫化された小林泰三『天体の回転について』(ハヤカワ文庫JA)に素晴らしい入れ替わりモノが収録されていましてね!
タイトルは「盗まれた昨日」。
某国の実験によって起こされた現象により、すべての人間が記憶を長期間維持することができなくなった世界。
なんとか復旧を成し遂げた人類は、人工長期記憶システムを利用することで日常生活を送れるようになっていた。
人々は身体に差し込んだメモリに長期記憶を保存することが当たり前になっている。
主人公の女子中学生は「大忘却」後に生まれ、メモリを使って生活することが当たり前である世代。
ある晩、彼女が目覚めると、自分の身体が中年男性のものにになっていることに気付く。
身体に差し込まれているのは、確かに自分のメモリ。何者かが彼女のメモリを中年男性の身体に移したのだ。
それでは今、この中年男性のメモリは女子中学生の身体に差し込まれているのではないか?
状況を調べていくうちに、自分が身体を使っている男性が犯罪常習者らしいということにも気付き、不安に襲われた少女は急いで家に戻る。そこにいたのは……。
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