2016年08月22日

第2回憑依モノ祭り参加しています

 妄想力が大幅に減退して随分長いこと放置してしまったのですが、自分が書けないでいる間にも多くの憑依TS書き(描き)の方たちが現れてくれました。特に5~6月にかけては次々に新しい憑依TS小説やイラストが発表され、自分も多いに刺激を受けました。妄想力もそこそこ回復です。
 そこで、楽しませてくださった皆さんへのお礼も兼ねて――

 TS解体新書」さんの900万ヒット記念企画、
 「第2回憑依モノ祭り」に新作でエントリーさせていただきました。


 タイトルは『汚染拡大』
 色々ともったいないところもある気のする作品ですが、ブランクも長いので自分のモチベーションを維持できそうなネタで書かせていただきました。近いうちに掲載されると思います。
posted by nekome at 22:35| Comment(2) | TrackBack(0) | お知らせ

2014年10月05日

憑依丸‐テニス部員編‐

「そこの男子たち! 見世物じゃないのよ。フェンスから離れて!」
 ポニーテール姿のキリッとした顔立ちの女子が声を張り上げる。女子テニス部の部長、九堂香澄だ。
 厳しい表情でラケットを突きつけられ、テニスコートの周りに集まっていた男子生徒たちは舌打ちをしながら距離を取る。中にはスマホを慌ててポケットにしまっている奴もいる。一応散ったように見える男子たちだが、九堂先輩がケチをつけられない程度の場所からテニスコートに視線を注いでいる。近くを通りがかっただけの奴も、一度はテニスコートの方に顔を向ける。
 あんな短いスコートを翻しながら動き回ってるんだから、野郎どもの目が集まるのは当然だ。ちょっと動いただけで中身が見える。勿論パンツが見えるわけはない。けれども、ヒラヒラのついたアンダースコートに包まれたお尻は、充分以上に扇情的だ。
 加えて、うちの高校の女子テニス部はなかなかに容姿レベル高めな子が多い。一度散らしたところで、どうせまたギャラリーは戻ってくるだろう。

 かく言う俺――井野崎恭弥もさっきまでフェンス前で目の保養をさせてもらっていたし、すぐに再開するつもりだ。
 ただし、未練がましくうろついている連中と違って、今はさっさとコートから離れていく。
 なにもコソコソと覗く必要はないんだ。夏休み前と違って今の俺には、特等席で拝ませてもらう方法がある。まあ、ある意味これ以上なくこっそりやるんだけどな。


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posted by nekome at 14:57| Comment(8) | TrackBack(0) | 創作・憑依

2014年09月28日

TS関連リンク3件追加です

 最近TS成分補給でお世話になっている憑依・入れ替わり中心なブログを3件、リンクに追加させていただきました。

 巫さんの「五千円です
 ホラーとTSの絡め方が上手いです。ダーク寄りな作品が充実しているのも嬉しいですね。
 特に、裏サイトである5000円です‐裏に掲載されている『亡霊犯』シリーズは、「亡霊と化した凶悪犯たちが憑依を使って次々に女の子たちを襲い、攫っていく」という某エロゲのような内容で大変興奮しました! 後日談的な作品も容赦なくてたまらないです。

 tsuniverseさんの「tsuniverse
 憑依・入れ替わりを中心にしたイラスト・漫画を公開されています。
 なんと言っても表情が素晴らしい。乗っ取られたor入れ替わった女の子の可愛い顔が、邪な欲望で歪められてしまうのが魅力的です!

 ヤードラット星人さんの「バッドエンドストーリー
 外道な男や魔物が美少女と入れ替わったり憑依したりして人生丸ごと奪ってしまう作品が揃っています。
 一片の慈悲もなくダーク一直線! 表情の落差が強烈なだけに、ビジュアルで表現する手段があるのって大きいなあと実感しますね。
posted by nekome at 12:35| Comment(0) | TrackBack(0) | お知らせ

2014年09月21日

憑依丸‐病院編‐

「あーくそぅ、退屈だよなあ」
 夏休みに入って間もないうちに交通事故で入院。当然宿題もごっそり連れてこなきゃならなかったから、暇なわけじゃない。
 とは言ったって、遊びにも行けないのに宿題だけやってて楽しいわけがない。痛みに悩まされることも少なくなってきた今となっては尚更だ。
「やっぱ、コイツを使ってみるかな……」
 ベッドの横にあるテレビ台の引き出しから小瓶を取り出す。瓶の中には黒い丸薬が詰まっていて、黙っていれば胃腸薬か何かだと思うだろう。だが、これがそんなつまらないものじゃないことを俺は知っている。
 あの店で初めて手に取った瞬間に「知った」んだ。

 ビルとビルの間に埋もれた存在感のない建物。前日までその場所にあったかどうかさえあやふやな、薄暗くて中の様子すらよく見えないような怪しい店に、なんで足を踏み入れる気になったのか自分でも不思議だった。
 けれど吸い寄せられるように手を伸ばした、この丸薬入りの小瓶に触った瞬間、そんな疑問は吹き飛んだ。
 頭の中に流れ込んで来た、この薬の効果。自分の肉体を離れ、他人の肉体に入り込んで支配するという、非現実的なチカラを与えてくれるという。他人から説明されたら鼻で笑うか思い切り警戒するかだけど、もう脳内にその知識が「ある」んだ。信じるか信じないかじゃない。俺はこの薬が本物だと「知っている」。
 財布の中身はすっからかんになってしまったけど、迷うことなく買って店を出た。こいつがあればとんでもないことができる。期待ではち切れそうで、今にも踊り出したいぐらいだった。

 ……まあそんな具合に浮かれすぎてて、うっかり車に撥ねられたんだから馬鹿というしかない。
 おかげで入院なんてことになってしまって、この薬で遊ぼうなんて気持ちの余裕は暫く生まれなかった。
 でも入院生活にも慣れてきたし、また思わぬトラブルに見舞われる前に楽しんでおかないと。それに、ターゲットはもう決まっているんだ。

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posted by nekome at 21:06| Comment(8) | TrackBack(0) | 創作・憑依

2012年05月03日

女の身体をあげると悪魔が囁く『鏡の悪魔』

 幾夜大黒堂さんのステマブログ、久々に更新です(マテ)

 最新作「鏡の悪魔」『ペンギンクラブ』6月号に掲載とのことですので、昨日買ってまいりました。

 鏡の前でヒラヒラの服を着て悦に浸る可愛い子……となればこの時点で思いますよね! 「女装してるな!」と(笑)
 そして鏡となれば出てくると思いますよね。「自分と同じ容姿だけど肉体は女である存在」が!

 はい、ここまでは当たりです。
 掲載誌こそ違いますが、平行世界、精神コピーと続いた「「自分とチュー」するのがテーマの読切り」、3作目に当たるんですよねー。

 今回登場する「女の姿の自分」は自称合わせ鏡の悪魔。
 悪魔といえば誘惑する存在。

 「この身体はアナタが望む 理想のアナタの姿だから」 

 「この女の身体になりたいと思わない? 
  アナタの魂をこの身体に移しかえてあげる 
  そしたらこの先 一生を理想の姿ですごせるわ」 


 勿論報酬に魂を請求されますが、それは天寿をまっとうした後とのこと。
 そんなこと言われたら(ただしその姿が理想的なものだったらですが)――頷いちゃうに決まってるじゃないですか!

 ここからエロシーンに入るわけなんですが、「男の肉体から女の肉体に魂を移し替える儀式」とエロの絡め方が巧いですねー。
 モチベーションを高めさせるために悪魔が使う方法なんかも、実に的確にTS願望持ちのツボを攻めています。過程でも愉しませる! 良いサービスです。

 それで、本当に女の子になれるの? エロシーンが終わったらすぐエンドだったりしない?と気になる方もいるでしょう。
 大丈夫です。彼はちゃ〜んと理想的な女の子の肉体を手に入れます。

 た・だ・し……

 契約した相手は、悪魔なんですよねえ。
 いやもう、軽く悲鳴を上げてしまいましたよ(笑)

2012年03月27日

正義を名乗らないTS魔法少女『魔王な使い魔と魔法少女な』

 懺悔しなければなりません。
 名古屋で開催された『魔法少女まどか☆マギカ展』を堪能することを優先して、本書を読むのが遅れたことを。
 そして全国のTSファンに命じなければなりません。
 『魔王な使い魔と魔法少女な』を――全力で買い支えよ!!

 みみとミミ『魔王な使い魔と魔法少女な』(スーパーダッシュ文庫)

 アキバblogさんが発売直後に記事書いてくれたので、初動は悪くないと思いたいんですが……出遅れたっ!
 この作品はすぐに読んですぐに宣伝して少しでも初動売上に影響与えて編集部営業に数字を見せつけるべきだったっ……! この才能を埋もれさせてはいけない!
 
 一応最初に言っておきますと、イラスト効果もあってビジュアルのギャップはなかなかですが、本文中でのTSモノとしての描写は決して濃いものではありません。
 が、主人公がTSするラノベで自分が今まで読んできた中では――ぶっちぎりに面白い!

 主人公の男子高校生・朝霧瑞希は捨て猫のような少女を発見(ダンボールハウス製作中)。彼女が所持していた「契約書」に誤ってサインしてしまったところ、魔法が発動。少女は瑞希の「使い魔」となってしまう。
 少女――リノは魔界の王、「魔王」を自称。事情があってこちらの世界で単身過ごすことになったのだが、先立つものもないし瑞希がうっかり「使い魔契約」してしまうしで色々困っているので同居させてほしいと懇願してくる。
 そう悪い話でもないのだが返事を渋る瑞希。何故ならば、彼には他人に知られたくないとある事情が――


 (こっから先はネタバレ含み&新鮮な読書体験を損なう恐れがありますのでご注意ください)

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posted by nekome at 00:54| Comment(1) | TrackBack(0) | 感想・小説・TS

2012年03月06日

君になったことで、君の名前を知った『ぼくは麻理のなか』連載開始!

 『漫画アクション』(2012 3.20 NO.6)で押見修造さんのTSモノ始まったああああああああああああああああ!!
 ってちょっと待ってどんだけ続くの、どんだけ続くの今年のTSモノ攻勢は(汗)

 第1話サブタイトルが「童貞少女」というど直球な始まり方の『ぼくは麻理のなか』
 主人公の青年・功は大学デビューに失敗し、今や通学もせずにダラダラと無為に日々を過ごすばかり。
 彼の楽しみは、毎晩決まった時間にコンビニですれ違う美しい女子高生(功曰く「コンビニの天使」)を目で追うことだけ。
 名前も知らない彼女に惹かれ、コンビニから彼女の家まで後をつけることが日課になって早一年近く。
 告白する勇気なんてない。
 乱暴を働く気なんて毛頭ない。
 ただただ、彼女の後をつけるだけ。
 彼女の近くにいたいだけ。
 彼女を少しでも知りたいだけ。

 そんな功が、いつものように彼女の後をつけていた夜――

 ぷっつりと記憶は途切れ、目覚めた功は、「彼女」になっていた。

 彼女の身体。
 彼女の服。
 彼女の部屋。

 彼女の姿に変身してしまったわけではない。彼女そのものになって、彼女の生活空間に存在しているわけです。
 一番考えやすいのは憑依なんですが……まだ情報が少なく(と言うより、あからさまに隠されている)ので断定はできません。

 それよりも語りたいのは、この作品の「気付き」のシーンが神だということですよ!

 TSモノで「性別が変わっていることに気付く」シーンは重要……ってつい最近も同じこと描きましたが、『ぼくは麻理のなか』における「気付き描写」は他の追随を許さないかもしれません。
 @肉体が別人になったことにより、違和感を覚える。
 A自分の部屋ではないことに気付く。
 B女の子になっていることに気付く。
 C鏡で姿を確認する。

 ここまで丁寧に描かれている時点で合格レベル。ですが、まだ続くのですよ……!
 憧れの少女になっている! ならば、と改めて部屋の中を確認。

 D家具・制服・ぬいぐるみ等の「所有物」に気付く。

 E生徒手帳で名前を確認する。

 生徒手帳で名前を確認する!

 これを大ゴマで描いてくれるとは……っかー! わかってますな押見修造さん!
 憑依や入れ替わりなどで「個人情報を把握していない人物になってしまった」場合、「何者になったのか」を知るのは凄く重要なわけですよ。当然といえば当然ですけど。
 憧れの少女そのものになったというのなら尚のこと、その娘のことを知りたくなるわけです。
 憑依・入れ替わり等によるTSは支配欲を満たすことにも繋がるものですが、「相手のことをもっと知りたい」という欲求に応えるものでもあるのですよ。
 名前も声も、趣味も知らない憧れの君。
 名前を知りたかった憧れの少女。

 その娘になったことで名前を知った。

 これ、凄く良い描写です。「実在する他人になってしまうタイプのTS」における喜びが、これだけ力を入れて描かれているとは……1話目から早くも感服です。

 また、TSコメディなどでは基本ドタバタと騒がしく描かれることの多い「気付き」のシーンが、かなり静かに、抑えて描かれているところも本作の特徴ですね。
 (自覚直後に叫ぶぐらいはしますが)
 台詞も少なく、しかしひとつひとつ丁寧に、他人になっていることを、異性になっていることを、憧れの少女本人になっていることを確認していくのです。
 思わずこっちまで泣いてしまいそうな圧倒的クオリティ……。良作の気配を強く感じますね。
 第2話は4月3日発売の8号掲載とのことで、見逃せません!

2012年03月03日

着込まれた彼女

 ちょっと近道をしよう。
 彼女と一緒の時に、それも既に日の落ちた時間に、そんなことを考えたのがいけなかった。
 ビルとビルの隙間、薄暗い路地裏を通っている時に、彼女と繋いでいた手が「きゃっ!?」という悲鳴とともにぐいっと引っ張られ――引き離された。
「な、何?! やだ、離して!」
「千紗!?」
 振り向くと彼女――千紗を後ろから羽交い絞めにしている男がいる。男、なのだろう。レンズに色のついた眼鏡とマスクをしているので顔はわからないが、体格から見ても男に間違いない。
 いや、そんなことはどうでもいい。もっと恐ろしいのは、男の袖口から、銀色に光るなにかが姿を覗かせていることだ。
 もしかして、刃物か何かを持っているのか?

「いや、た、助けて!」
「お、おいお前! 千紗を離せ!」
 内心震えながらも声を張り上げると、今まで黙っていた男の口から、くぐもった声が漏れた。
「……大声を出すなよ。まあそう焦るな。今から面白いモンを見せてやるからよぉ」
 ガタイから想像した通り、男の腕力は相当強いみたいだ。片腕で千紗を拘束したまま、袖口から銀色に光るなにかを引っ張り出した。ずるずると、やけに長細い……ん? あれは、え?
「見てのとおり、ファスナーだよ。ただし、ただのファスナーじゃないぜ。よく見ておけよ」
 言いながら、男はファスナーの片方の先端を千紗の後頭部へと近づけていく。

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posted by nekome at 23:42| Comment(7) | TrackBack(0) | 創作・皮

2012年02月26日

怒涛のTSウィークを振り返る

 ちょっと週の後半仕事が忙しかったこともあって感想を書けていない作品も多いのですが、今週発売された単行本・雑誌の新連載・新TSシーンで自分が直接買って確認しているものをざっと並べてみましょうか。

 地域によっては先週末の時点で入荷していたものもあるようですが――
 『アイドルプリテンダー』単行本1巻発売。
 『ヒーローの秘密』単行本1巻発売。
 『ツイてる勇者さま!』発売。
 『ぬらりひょんの孫』最新第百九十幕、イタコの少女に13代目秀元が憑依。

 『山田君と7人の魔女』連載開始。

 『No girls no life』単行本発売。
 (↑「桜木陽の受難?」が該当)

 『にょたいかっ』単行本4巻発売。

 なんなんでしょうこのラッシュは(笑)
 感想記事どころか読むだけでも追いつきません。嬉しい悲鳴をあげてしまう状況です。
 
 しかも今週のみならず、今年に入ってからは――
 『妄想奇行 Adolescence Avatar』単行本発売。
 『NOT LIVES』単行本1巻発売。
 『アンリアルアンソロジー 入れ替わり・憑依ファンタズム』発売。
 (↑多数の作品が該当)
 『なりゆきショウガール』単行本発売。
 (↑多数の作品が該当)
 『サイ:テイカー 2人のアルテミス』連載開始。
 『ハカセが助手でオレがオレで。』掲載。

 まさに怒涛の勢いでTSモノが出版・掲載されており、しかも質の高いものが多いのですから驚かずにはいられません。

 「TSブーム」と呼ばれるものは去った、というのが自分の認識です。
 その代わり、TS(出版社によっては「性転換」とのみ記述する場合も多い)というものがジャンル・シチュエーションのひとつとして「アリ」だと、多くの出版社が考えるようになったのでしょう。
 そのため、元々TSモノが描きたかった作家・漫画家さんの企画が通りやすくなり、また編集側からの働きかけによって生み出されるケースも出てきたのだろうと。
 爆発的に売れることはそうないと思うのですが、「一定数以上は堅実に売れる」のではないかと推測できます。アキバblogさんで扱われることも多いですしね。

 「ブーム」の場合は粗製乱造が懸念される――というか、実際ひどいものも目にしたわけですが、「定着」によって、少し状況が変わってきたように感じられます。
 このジャンルのお約束を押さえつつ「一般読者が読んでも面白い」作品や、ひと捻り加えた作品が増えてきたのではないでしょうか。
 『山田君と7人の魔女』を読んだ月華さんの「時代はもう、単にTSを描くのではなく、TSで何を描くか、の段階になっているのだな、と思う。」という言葉はなかなか的確な認識だと思います。

 
 こうなってくると、商業媒体での広がりに比べて、コミケに参戦しているTSサークルの数と規模がちょっと寂しく感じられますねー。
 やはり、ジャンルを牽引するのは愛好者自身でなくては! 負けてられませんよ!
 ということで、今年はもう一度同人誌を出そうと考えております。
 ただ、夏はちょっと会社カレンダーとコミケの日程が相性悪くてですね……コピ本を配り歩くか、委託するのがせいぜいだと思うのです。
 しかし、冬でしたら休暇とコミケの日程が上手く合う可能性がかなり高いので、サークル「Teiresias」としてのオフセット本を、今年の冬コミで出すことを目標にします!
 さあ、無事メンバーは揃うでしょうか……!
posted by nekome at 13:37| Comment(2) | TrackBack(0) | TS雑談

2012年02月24日

西尾市議会と中日新聞の消防団バッシングが招く、地域防災の崩壊

 このブログでは普段と毛色の違う、しかも長大な記事となりますが、重要な件につきご理解いただきたいと思います。

 2月22日、中日新聞朝刊に目を疑うような悪質な記事が掲載され、全国の消防団員から戸惑いと怒りの声が上がっております。

「西尾の消防団、公費でコンパニオン代」
(↑新聞紙上では団員を擁護する意見も併記されていましたが、公式サイトの記事は批判的な論調の文章しか掲載されておらず、そちらが中日新聞の公式見解であると判断いたします)

 さらに夕方には、以下の記事がアップされました。
「西尾の消防団、震災翌日も公費で宴会」

 はっきり言いましょう。
 何が問題なのかまったく理解できません。
 消防団の実態についてまともな取材を行っていないことは明白であり、実に劣悪な記事であると言えます。
 公務員叩きもここまで来たか、世も末だなと思わずにはいられません。
 おそらく、運良く消防団に一切の関わりを持たずに生きてこられた人(特に都会の住民)は記事に同調して「けしからん!」と考えてしまうでしょうから、詳しい解説を行います。

・消防団員の身分
 まずは基礎知識から。消防団員は「特別職の地方公務員」です。
 しかし、「公務員=相応の給料をもらっている人間あるいは特権階級」ではありません。
 「消防団員は特別職の地方公務員である」というのは、何か特別な権利を有しているという意味ではなく、むしろ一般民間人よりも多くの制約と義務を課されているという意味です。
 しかも消防団というのはそれが本職なのではなく、他に仕事を持っている人間が空いた時間で、プライベートを削って参加する仕事なのです。

・消防団員の処遇

 記事中では「団員報酬(年間1人5万5千〜14万3千円)」と書かれていますが、これは実に怪しい数字です。
 というのも、金額に幅がありすぎるからです。
 例えば千葉県四街道市の消防団員報酬(年額)は、団員が3万2千円、班長が3万8千円。
 14万円以上ももらえるのは、団長だけです。

 これで「年間14万円も貰っている団員がいる」というのは、平社員と管理職の給料を並べて語るようなもので、実に悪意のある、または無知を曝け出した記事であると言えるでしょう。
 わたしの想定よりも記者が愚かだった場合、年間活動報酬と退団金を混同している可能性もありますね。
 また、横浜市では団員2万円、班長2万1千円、団長ですら5万円。雀の涙とはこのことです。

上ではかなり好意的な推測を述べたのですが、この「年間1人5万5千〜14万3千円」という記述には、その元となっている可能性の高い文書が存在します。
 西尾市議員・鈴木規子がばら撒いているビラに、まったく同じ数字が書かれているのです。
 消防団に対する悪意に満ちた品性下劣な文章であり、最早怪文書と呼べるレベルです。
 中日新聞の記者は、この文書だけを見て他の取材をせずに記事を書いたのではないか?と疑いたくもなります。

・消防団員の労働量の実態

 消防団の主な活動のひとつに、「操法大会に向けての練習」があります。
 操法大会とは、ポンプに布ホースと筒先を繋ぎ、実際に送水を行って的を倒すまでの速さと正確さを競う大会です。ここで身に着ける動作・操作は実際の消火活動でも必要とされるものが多く、消火活動訓練的な意味合いを持っています。
 2010年11月23日にNHK総合で放送された「火を消すだけじゃない 消防団の底力」という番組が良い出来だったんですが……ネット上で公開されてませんかね?
 まあ、こちらのサイトで「操法」の詳細を確認してもらうと良いでしょう。
「e‐カレッジ 防災・危機管理」
 この練習量ですが、早朝または夜間1〜2時間の練習が、緩いところで年間30日程度。厳しいところでは100日をゆうに超えます。

 さらに、毎月1〜2回、休日を使った消火設備等の点検業務。
 毎月19日の防火PR(半鐘を鳴らしながら消防車が近所を回っていますよね。あれです)。
 秋・春の火災予防週間(↑を一週間やるってことです)。
 年末3日間の夜警(19あるいは20時〜0時まで拘束。朝まで拘束の団もあるかも?)。
 火災出動(夜中でも叩き起こされ、平日であれば仕事を休まされる場合も。また、プロの消防隊にも活動限界があり消火後すぐさま撤収してしまうので、残火監視は消防団の仕事となります。夜間に火災が発生した場合、翌朝まで寝ずの番をさせられることもあります)。
 台風・地震などの災害に対応した出動。
 地域行事への参加。祭の警備。出初式の階梯操法(当然練習もある)。
 忙しい月ですと、土日の半分以上が潰れることもあります。
 本職と消防団活動の板挟みとなり、精神を病んでしまう人もいます。

 さあ、活動報酬と労働量の実態ををざっとお教えしました。ここで問います。

 あなたは、この条件で働きたいと思いますか?

 これでも「無償ではないのだからボランティアではない。文句を言わずに働け」と言えますか?

 しかも、消防団員は頻繁に命の危険に晒されます
 東日本大震災で多くの消防団員が殉職されたことは記憶に新しいと思います。雲仙普賢岳の火砕流でも、危険な地域に無理矢理侵入したマスコミを連れ戻そうとした団員が巻き添えになって殉職されました。
 しかし「あれらは特別な例だ」と思っている人はいませんか?
 消防団員の殉職は、激甚災害指定クラスの災害以外でも容易に起こり得ます。
 例えば台風・豪雨による増水。伝聞ですが、実話です。
 堤防上で水位の監視を命じられ、暴風雨の中、川岸で監視。当時は情報が錯綜していてわからなかったが、解散後、実はある地点で冠水寸前になっていたことが判明。
 もし、もう少し雨が強かったら……と、団員は血の気が引いたそうです。
 また、うちの近所でも住宅火災が発生したことがあるのですが、あたり一面に白い煙が立ち込め、視界はほとんどゼロ。煙のせいで喉が痛く、まともに呼吸もできない。
 そんな環境で、消防隊員・消防団員の怒号が飛び交っていました。

 さて、もう一度質問です。

 消防団員の報酬は、その負担に相応しい額ですか?
 命に見合った金額ですか?


 勿論、公務中の負傷によって障害を負った場合は見舞金が支払われ、殉職した場合は遺族に弔慰金が支払われます。そのための共済制度があります
 (※東日本大震災によってあまりにも多数の殉職者が出たため財源不足となり、弔慰金の額は引き下げられました。)
 しかし、当人にとっては死んだらおしまいですよね。
 報酬を受け取れるのは、生きている間だけなんです。
 地域住民は、消防団員が生きている間に慰労するべきなんです。

・西尾市消防団員は非難されるべきか?

 ここまで理解したうえで、中日新聞の記事をもう一度読んでみましょう。
 ……西尾市消防団員の金の使い方は、非難されるべきものですか?
 彼らには、日々の活動を労われる権利があるのではないですか?

 それに、厳密に「公金」から遊興費が出たとは断定し難い部分があります。
 記事中にはこう書かれています。
「100人分の団員報酬(年間1人5万5千〜14万3千円)と、出動1回ごとに1人2800円支払われる手当の全てを慣例で団がプールしていた」
 ……これって「公費」でしょうか?
 一度団員の懐に入ったお金ですよね。それって私有財産じゃありませんか?
 自主的に集めて、共同で管理していた。そのお金は、当然団員が自由に使って良いんじゃありませんか?

 何故共同管理していたのか理解できない人もいるかもしれませんが、推測は容易です。いやまあ、現役団員からの証言ももらっているのですが。
 簡単な話、幽霊団員対策です。
 活動報酬は団員個人の口座に直接振り込まれるため、出席率に関係なく等額受け取ることができます。
 しかしこれでは、名前だけ登録して活動に参加しない団員、忙しくて滅多に参加できない団員まで金を受け取ることができ、不公平が生じます。
 そこで、活動報酬が振り込まれ次第回収・共同管理することで、消防団活動に参加している者のみが正当な恩恵に与れる環境を構築するのです。
 激務の対価で飲み食い……いったい何が悪いんでしょう。

 こう言う方もいるかもしれません。
「消防水利管理費名目になっているのだから、助成金を遊興費に充てたのだろう」と。
 ならば返しましょう。だからなんですか?と。
 何故助成金を遊興費に充てるような事態が発生するのか?

 答えは簡単、金が足りないからです。

 日々の活動に伴う飲食代・備品代などで、団員活動報酬はあっという間になくなってしまいます。なにしろ雀の涙ですから。
 でもそれでは、消防団員は必要経費しか受け取れていないのと同義ではありませんか。
 頑張ってくれた団員たちを労い、新たに入ってくる団員を歓迎する。その費用はどこから捻出すれば……。
 これ以上は言わなくても理解できますよね。

 「それでも公金である以上、遊興費に充てるのは問題だ! もっと厳格に管理するべきだ!」
 と堅苦しい理想を主張するヒトもいるでしょう。
 ならばこう返します。

 そもそもの制度がおかしい、と。

 団員を労うのに充分な、負担に相応しい金額を最初から支払っていれば良いのです。活動報酬を増額すれば良いだけです。
 そのうえで助成金を打ち切るのなら、誰も文句は言わないでしょう。

 現行制度のもとで厳格な資金運用を強要するのは、地域防災の重要な柱のひとつである消防団員を無用に苦しめるだけの愚策でしかありません。

 「震災直後に宴会を開くのは不謹慎」ですか?
 一応相手をしておきましょう。というか、繰り返しになるのですが――
 消防団員は公務によって死ぬかもしれないんですよ?
 東北の犠牲者を他人事だと思っているから宴会を開けるのではありません。「明日は我が身」だとわかっているから、生きているうちに少しでも楽しく過ごすのです。
 愛知県は、東海地震が起これば甚大な被害が出ると予想されています。当事者意識など、無いはずがないではありませんか。
 「津波注意報発令中」?
 記事中に「災害対策本部解散後」って明記されているじゃないですか。
 あれですか、あなたは仕事上がりの飲み会や晩酌も一切禁じられるのが正義だとお考えですか。でしたらもう話が通じませんので、どこかわたしの目の届かないところへ行ってください。


・消防団員の冷遇は、地域の防災能力を著しく損壊させる。

 キツくて危険で責任ばかり大きくて、割に合わない仕事。
 実質ボランティア。

 こんな消防団活動を、好き好んでやりたがる人間なんてそうそういません。
 ならば何故参加するのかと問えば、こう返ってくるでしょう。
「この地域に住んでいるからだ」と。
 義務感・正義感・善意・しがらみ・諦め。そういった想いによって
「嫌なことも多いけど、まあ仕方ない。やってやるか」
 そうやって参加し、なんとか楽しみを見つけていくのが消防団活動です。

 しかしですね……義務感で自分たちを律するのにも……冷遇にも……限度ってものがあるのですよ。

 サービス残業への批判、最近特に盛んですよね。
 どうです? 消防団活動。サービス残業と似ているとは思いませんか?
 時給換算してみて、どう感じられますか?
 やりたくないって、思いませんでした?
 その時間で最低賃金のバイトやった方がマシだって思いませんでした?

 そんな実情と世相の変化が合わさり、消防団員の数は年々減少と高齢化の一途をたどっております。
 今後も地域防災能力を、消防団を維持したいのならば、待遇の改善が必要になってくるでしょう。東日本大震災によって、防災能力の向上は日本中で急務となっているはずです。その一環としても、対応が必要でしょう。
 しかし驚くべきことに、愚かにも、西尾市は23日、消防団交付金の廃止を決定しました
 最早、西尾市消防団の崩壊は免れえないのでは、というのが自分の予想です。彼らが今後すべての活動をボイコットし、あるいは一斉退団して自ら消防団を事実上の廃止に追い込んだとしても、それを責める気はありません。

 さらに警戒すべきは、この愚挙が中日新聞によって連日報道されていることです。それもあのような低劣な記事で。
 もし今後、この件が各地に飛び火し、消防団の待遇悪化が相次いだとしたら……。
 多くの消防団が存続不可能となり、地域防災能力が著しく低下する恐れがあります。


 それを防ぐために、今回この記事を書かせていただきました。
 皆さん、もっと消防団の実態を知ってください。
 ネットで調べるだけでも具体的な数字が、一次資料が大量にみつかります。
 身近に消防団員がいる方は、直接実情を教えてもらってください。
 マスコミの垂れ流す偏った情報に騙されないでください。
 そして、皆さんの地域の消防団員を、どうか支えてあげてください。


 最後に、言わせていただきます。
 地域防災能力を削がんとする西尾市議会、及びそれを後押しした中日新聞。

 両者を「公共の敵」として、

 
声を大にして非難いたします!!

 絶対に許せません!

 
 最後までお読みいただき、ありがとうございました。
posted by nekome at 23:26| Comment(11) | TrackBack(0) | 日記
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